統合的設計による省エネ改修の技術実証事業

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事業目的

 東京都では、2050年の「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、既存の大規模事業所等の断熱や設備の最適化、先端技術等を活用した建物の先進的な省エネ改修のモデル創出を実現するための事業を開始しています。
 本事業では、改修後の運用を見据え、建物関係者が連携して省エネに取り組む体制を構築します。現状のエネルギー使用量を把握・分析し、省エネにおける課題を明確にした上で、建物全体を対象とした省エネ手法を検討します。これにより、建物用途ごとの実態に即した最適な統合的設計(※)による省エネ改修の実現を目指します。

(※)統合的設計
 省エネ改修の適切な運用を見据え、建物関係者等が省エネへの認識を共有し、現状のエネルギー使用量の把握及び分析により省エネ化における課題を明確化した上で、外皮、熱源、空調、照明等の建物全体を対象に、設備容量の適正化及び制御の特徴を活かしたシステム構築といった統合的な省エネ手法を検討し、建物の実態に即した最適な改修を実現する設計

事業概要

【実施体制】
 本事業は、都と事業者が連携して、各役割に基づいた取組の実施をすることで、統合的設計による省エネ改修の実現を図る技術実証事業です。
 東京都の役割は、本事業に係る協議及び助言、事業者の取組について検証・評価、経費の一部の負担等になります。
 事業者の役割は、技術実証事業の要件(下記参照)を満たす統合的設計による省エネ改修の実施、実施状況の報告、本事業に係る情報提供等になります。
 
 
 

【技術実証事業の要件】
・令和7年度「統合的設計による改修に向けた省エネポテンシャル調査事業」を踏まえた統合的設計による省エネ改修の実施(※1)
・都が示す省エネ水準等の達成(※2)
・本事業における取組を踏まえた改修費用縮減の取組の提案
・改修後の効果検証、実績報告、成果の公表及び普及展開の実施
・エネルギー削減による光熱水費の削減に加え、都と連携した改修効果の見える化(建物の付加価値向上等)に向けた取組の実施 等

(※1)令和7年度「統合的設計による改修に向けた省エネポテンシャル調査事業」を踏まえた統合的設計による省エネ改修の実施
①建物関係者や技術的な知見を持つ専門家を含めた体制の構築
 本事業の実施に当たり、設計・施工・運用の各段階で、建物関係者や技術的な知見を持つ専門家を含めた体制を構築し、各メンバーの役割を明確にした上で、メンバー間の情報提供・議論・検討が円滑に行われる仕組を整備
②省エネポテンシャル調査を踏まえた改修内容の実施及び主たる熱源機器又は空調機器において、適切な設備容量への変更(ダウンサイジング)等の実施や一定の性能を有する外皮・熱源機器・照明器具の導入
③運用データの分析に基づいた改善検討及びチューニング
 本事業の実施後、以下の(ア)や(イ)を実施し、運用データの分析に基づいた改善検討及びチューニングを行うこと
(ア)運用後のエネルギーデータの計測・収集を行い、改修によるエネルギー削減効果に関する分析を行うこと
(イ)計画通りの運用が為されているかの確認を行い、必要に応じて制御設定値等のチューニングを実施すること

(※2)都が示す省エネ水準等の達成
 改修後のエネルギー消費量やCO2排出量について、以下の要件を満たすこと。
①建物全体のCO2について、キャップ&トレード制度の基準値を基に定めている値から70%以上削減(改修後の再生可能エネルギー電気の調達等を含む)
②改善対象部分のエネルギー消費量について、改修前の実績から20%以上削減
③建物全体のエネルギー消費量について、キャップ&トレード制度の基準値を基に定める値(基準一次エネルギー消費量)から50%以上削減

令和8年度採択事業者・取組内容       掲載順は、事業者名の五十音順としています。

1 採択事業者

・東急不動産株式会社(品川東急ビル)
・東神開発株式会社(玉川髙島屋S.C.)

2 取組詳細

東急不動産株式会社(品川東急ビル)の取組

 

【建物概要】
・竣工年月:2007年7月
・規  模:地下2階、地上20階建
・延床面積:約20,600m2(事業対象は住戸部分を除く約12,000m2
・建物用途:事務所
【改修概要】
 省エネポテンシャル調査による実態負荷の把握及び省エネルギー余地の検証結果を踏まえた設備容量の最適化(ダウンサイジング)や外気処理方式の高度化とCO2制御による外気量最適化、機器側運用改善機能及び遠隔監視を活用したデータ分析・チューニング、照明のLED化と調光制御等の取組により、既設テナントビルの実態に即した最適な改修を実現し、実装プロセスと効果を実績で示すことで、横展開可能な技術実証モデルを構築
 
 
左・改修前、右・改修後
【実施体制】
 設計・施工・運用の各段階で情報共有と意思決定を円滑に行うため、基本計画・設計者・実施設計・施行者・メーカー・管理会社が参画する一貫した体制の構築
 
 
 
【運用対策】
 在室工事・騒音・振動配慮等の制約を前提とした施工計画を立案し、改修後は電力会社が提供する計測データや既存BEMS等により受電30分値及び主要設備の電力量を継続取得し、省エネ性能の安定的な発揮を図る等、各種制約を考慮した施工計画とデータ検証による省エネ運用の実現
 
 
【改修費用縮減の取組】
 ダウンサイジングに加え、外気処理方式の見直しによる機器構成の合理化や計測・監視(マネジメントシステム)の既存活用による整備費や既設加湿設備の再利用による更新費用の抑制等の改修費用縮減の取組の実施
 
 
【普及展開に向けた取組】
 入居テナント等と連携して環境取組を推進する環境先進パートナーシップ「team green」の活用による省エネ運用の実践・横展開やRE100の活用、空調設備更新に当たって低GWP冷媒であるR32を採用する等の取組の普及展開を実施
 
 

東神開発株式会社(玉川髙島屋S.C.)の取組

【建物概要】
・竣工年月:1969年(本館)
      1977年(南館)
・規  模:地下2階、地上7階建(本館)
      地下2階、地上11階建(南館)
・延床面積:約56,000m2(本館)
      約51,500m2(南館)
・建物用途:商業
【改修概要】
 省エネポテンシャル調査やこれまで実施してきたコミッショニングの取組に基づき、消費エネルギーの割合が大きい熱源設備について、システム効率の低い氷蓄熱システムから系統の簡素化、容量低減、高効率化が期待できるインバータターボ冷凍機を活用したシステムへの改修を実施し、テナント営業を継続しながらの改修難易度の高い既存大規模商業施設において統合的設計及びコミッショニングの考え方の整理と実態に即した省エネルギー改修モデルを構築

左・改修前、右・改修後
【実施体制】
 設計、施工、運用段階において関係者間で設計意図、判断条件(要求性能・検討条件等)を整理、共有するための建物オーナー(施設管理者)、ビル管理会社、コミッショニング事業者及び施工者による一貫した体制の構築
【運用対策】
 改修後は、設計性能の確実な発揮と省エネ効果の最大化の実現、営業時間帯を通じて安定した室内環境を維持するため、熱源システムCOPや負荷熱量及び消費電力等の運用エネルギーデータ収集を行い、改修効果の分析と運用改善を竣工後2年間程度継続的に確認し、必要に応じて設定値や制御のチューニングを実施
 
 
【改修費用縮減の取組】
 改修にあたり、費用と省エネ性能の両面から熱源の校正見直しを図るため、設備容量の最適化(ダウンサイジング)や熱源システムの再構築、系統の簡素化により、単純更新をした場合と比較して合理的な投資を実現するための改修費用縮減の取組の検討及び実施
  
 
【普及に向けた取組】
 オフサイトPPA等の活用により脱炭素化を継続的に推進するとともに、統合的設計による省エネ改修やコミッショニングによる分析・検討・意思決定プロセスを通じた設備更新・運用改善を一体的に捉えた取組の普及展開を実施

今後の計画等について

 本事業では、令和8年度に採択した事務所・商業用途をはじめ、さまざまな建物用途を対象に、先進的な省エネ改修モデルの創出に取り組んでおり、令和30年度までに10件程度のモデル創出を予定しております。
 現在、大規模改修を検討されている事業所がございましたら、本事業への御協力をお願いいたします。(令和8年度の詳細については、こちらをご参照ください。)

 
 

省エネポテンシャル調査事業

 令和9年度に本事業の採択を受けるには、令和8年度中に省エネポテンシャル調査事業を実施することが要件となっています。
 省エネポテンシャル調査については、こちらより事業の詳細をご確認ください。

※本件は、「2050東京戦略」を推進する取組です。
 戦略20 ゼロエミッション「エネルギー効率の最大化」

記事ID:021-001-20260812-018867