株式会社ローソン

企業の食品ロスへの取組紹介(取組状況と削減効果を見える化)

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株式会社ローソン

食品ロス削減及び食品廃棄物削減を目的に、地域や企業と連携し、社会課題に全社で向き合う


株式会社ローソンは、コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズチェーンを展開し、持続可能な社会の実現に向けた取組を進めている。その使命のもと、「ローソングループ環境方針」を制定し、食品ロス削減をはじめとする環境課題に積極的に取り組んでいる。

環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050 ! 」を掲げ、社会課題に取り組む

環境への取組を推進するために制定した「ローソングループ環境方針」では、豊かな地球の恵みを次世代へ引き継ぐため、常に自然環境及び地域社会に配慮した事業活動及び地域社会との共生を宣言している。ローソングループとしてこの環境方針をもとに積極的に環境に関する活動に取り組み、企業価値の向上を目指すことが使命であると考える。

「マチのほっとステーション」がコーポレートメッセージであり、グループ理念は、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」です。これらはグループ会社含め社員全体に浸透しており、それらの実現のため環境を含めた社会課題を、事業を通じて解決していかなければならないと考えています」とサステナビリティ推進室マネジャーの山口氏は語る。

社会課題の中でも特に、環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050 ! 」を掲げていて、CO2排出量削減、店舗の食品ロス・食品廃棄物削減・プラスチック使用量削減などの環境課題に対した取り組みを進め、2025年及び、2030年、2050年の目標(KPI)の達成に向けてチャレンジしている。

「食品を扱う企業として、AIを活用して発注予測や値引き推奨をしても食品廃棄物はどうしても出てしまうため、企業の使命として取り組まなければいけないと考えています」

2019年、認定NPO法人のフローレンスとコミュニケーションをとったことをきっかけに、フードバンクへの定期的な寄贈を開始した。

それまでは、物流センターで入荷許容切れになったり、販売が終了した商品は残念ながら廃棄していた。

「賞味期限まで時間があり、十分に商品価値を有しているもののため、食の支援を必要としている人たちに届けたいと思い、フードバンクへの寄付をはじめました。」

中間支援団体を通じた寄付のため、最終受益者に渡るまでの保管方法など、なにかあった場合、どこまで責任を取ればよいか、本当に大丈夫なのかという懸念の声は社内であがった。そのため、最初は小規模から開始し、信頼関係を築いていくことで、安心して任せられる確信を得ながら、支援の輪を広げていった。

また、SDGsが国内に浸透し始めたのも同時期で、社会的な盛り上がりも、この取組の後押しになった。

3R(リユース、リデュース、リサイクル)で食品ロス・廃棄を削減

ローソンでは、食品ロス及び食品廃棄の削減に、優先順位を決めて取り組んでいる。

工場では必要な分だけを製造し、店舗では適切な量を仕入れ、値引きも含めた売り切りを進めており、それでも食品ロスが発生しそうな場合は、支援を必要とする方々への寄贈による「有効活用(リユース)」を進めている。

「発生抑制(リデュース)」と「有効活用(リユース)」は、食品を食品のまま食べ切る・使い切るために非常に重要な取組である。

この2つの取組を実践しても、どうしても食品のままの利用が難しい場合、燃料や飼料等へ加工する「再生利用(リサイクル)」を進めることで、単純に捨てられてしまう食品を減らす取組を進めている。

【発生抑制(リデュース)のための次世代発注システムAI.CO】

2024年7月末までに、次世代発注システムAI.CO (AI Customized Order :アイコ)を全店舗に導入した。

AI.COは従来のセミオートで実現していた品揃え、日々の発注数の推奨に加え、店舗の立地や客層などの条件に合わせて、商品の値引きも推奨する。

AI.COの導入により、さらなる販売機会ロスと食品ロス(廃棄ロス)の削減に繋げている。

有効活用(リユース)では4つの取組を紹介する。

【「もったいない」を有効活⽤して「ありがとう」へ 地域と協⼒して「食品廃棄ゼロ店舗」の創出】

販売許容時間が過ぎた「からあげクン」を急速冷凍し、支援を必要とする子ども食堂などへ寄贈する実証実験を東京都内の一部店舗で実施。実証実験では、店舗で販売許容時間が過ぎたフライドフーズを、鮮度を保ったまま保存が可能な急速冷凍機で凍結し、子どもの食を支援する取組の一環として子ども食堂などに寄贈。寄贈した商品は子ども食堂などで再調理され、昼食や夕食に活用されている。

(寄贈先:品川区内 子ども夢食堂 だんらん、豊島区内NPO法人 ハートランド・友)

物流センターの販売許容期間が切れた商品などは、賞味期限まで長いため、フードバンクを通じて、子ども食堂などへ寄付できるが、店舗で廃棄されるものは、消費期限のある、おにぎり、お弁当、サンドイッチなどが多く、消費期限ぎりぎりまで陳列しておくこともできないため、まだ食べられるのに廃棄にまわす必要がある。

しかし、消費期限まで1時間ほどしかない商品が大多数のため、安心・安全を担保したまま、誰かに繋げるのは難しい。どうしても、店ででてしまう売れ残りは、可能な限り、食品リサイクルにまわして、単純焼却をせず、飼料や肥料にしている。

【未利用食品を活用し「もったいない」という感覚をもう一度考えるきっかけを作る親子向けイベント「サルベージパーティ®」】

お客さまを巻き込んだ食品ロス削減に関する施策として(対象:小学生5年生~中学3年生(保護者同伴))、ローソンの未利用食品を使ってお客さまと一緒においしく変身させる「サルベージパーティ®」を実施。調理体験及び食事会を実施し、美味しく食べることで食材がもつ価値を再発見する取組を行っている。

(協力:KDDI株式会社、一般社団法人フードサルベージ)

「ローソン店舗で発生する食品ロスは事業系ですが、家庭系の食品ロスがなかなか減らないことを国としても苦慮している中で、家庭から出る食品ロスを楽しく調理したら、国全体の食品ロス削減にもつながります。個人個人に社会的な行動変容を促す体験型の取組や食育を今後も進めていきたいと考えています。」

【自治体や学生など産官学を巻き込み、「食品ロス削減」に対する意識変革、気づきの提供】

●品川区しあわせ食卓事業(通算7回の実績)

配送センターにおいて賞味期限内ではあるものの店舗への納品期限を迎えてしまった加工食品などを、支援を必要としているご家庭などにお届けする取組。調味料や、レトルト食品、カップ麺、菓子などの食料品に加え、アルファ化米や防災ビスケットなどの荷受け・ピッキング・梱包・荷出し作業の実施をしている。

(協力:品川区、青稜中学・高等学校SDGs部)

【学生食堂で余剰商品を活用した「食品ロス削減」の取組】

賞味期限が近付いたフライドフーズ「ソースinLチキ餃子味」を学生食堂などへ無償提供する取り組み。販売にあたっては、横浜市立大学国際商学部のゼミ生が、プロモーション戦略設計及びポスターなどのプロモーション制作を担当。生協食堂を運営する同大学生活協同組合と弊社の「生協食堂を活性化させたい」「SDGsの課題解決につながるということを伝えたい」という想いが1つになり実現した。

SDGsハンドブックを発行し、従業員への浸透をはかる

ローソン社員、FC加盟店にとって、食品ロス、食品廃棄は、一丸となって取り組むべき社会課題である。よって、経営層が参加するSDGs委員会を設けて、サステナビリティに関する情報を発信すると同時に、加盟店にもその情報を共有するために、年に1度SDGsハンドブックを発行し、加盟店に配布している。

「FC加盟店さんのSDGsの取組を年に1回表彰する仕組みもあり、入賞された方たちをハンドブック上で紹介し、この取組やってみようよ!とか、自分たちも応募できるのでは?というような行動に繋がるきっかけをつくっています。」

食品ロス・廃棄に対する姿勢が全従業員、全加盟店に伝わる仕組みを構築している。

2030年に2018年対比50%削減、2050年には100%削減という目標を掲げる

ローソンは、廃棄物の中でも食品ロス削減を非常に重要な課題と捉え、2030年までに2018年比で50%削減、2050年には100%削減という目標を掲げている。その実現に向け、AIを活用した発注の適正化・値引き販売の推進、容器の工夫による消費期限の延長などを組み合わせ、食品ロスおよび食品廃棄の削減に取り組んでいる。

「個社だけでは実現できることに限りがあるため、今後は他社(異業種を含む)や地域のお客様にご協力をいただき、課題解決に努めていきたいと考えています。」

また、代表取締役社長は**CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー:最高サステナビリティ責任者)**を兼任しており、CSO自らが社員をはじめ、オーナー、店長、クルーに対し、「食品ロス削減」を含む社会課題解決に向けた積極的な呼びかけを行っている。こうした取組により、会社全体で社会課題の解決に真剣に向き合っている。

誰もが「ほっ」とできる、「マチのほっとステーション」の実現を目指して

株式会社ローソンは、1975年に日本で設立されたコンビニエンスストアチェーンであり、国内外に多数の店舗を展開している。「マチのほっとステーション」をスローガンに、地域密着型のサービスを提供。食品、飲料、日用品に加え、健康志向の商品や高付加価値商品の開発にも注力している。

近年はDXを活用した次世代店舗運営や、環境・社会課題の解決に向けたサステナビリティ施策(食品ロス削減、脱炭素化など)を推進し、グループ全体のシナジーを活かした事業展開を進めている。

企業名:株式会社ローソン
所在地:(本社)東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー
公式ホームページ:https://www.lawson.co.jp/

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