企業の食品ロスへの取組紹介(取組状況と削減効果を見える化)
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自治体主導のフードシェアリングサービス「タベスケ」で食品ロスの削減や環境活動への参加を促す
株式会社G-Placeは50年以上自治体向けのサービスを提供している。主軸の「地方自治体の環境施策を支援する事業」から生まれた食品ロス削減のためのフードシェアリングサービス「タベスケ」について、公共イノベーション事業グループ 西日本営業チームマネージャーの中島氏に話をきいた。
自治体が主導できる食品ロス削減のサービス開発がしたい
食品廃棄物・食品ロスについて取り組むきっかけは、既存顧客であった兵庫県姫路市からの「自治体が主導できる食品ロス削減のサービスを開発したい」という声だった。
「弊社としても、各自治体様に新たな価値を提供したいと考えていたところ、SDGsの言葉が馴染み始めた頃で、住民の方の身近な問題として食品ロスが取り上げることも多くあり、自治体様が主導となる食品ロスを削減できるモデルのサービスとして、タベスケを開発しました。」と中島氏。
すでに先行するサービスはいくつか存在していたものの、対象は主に民間企業であり、自治体が運用できる仕組みはなかった。そこでフードシェアリングサービスに着目し、自治体向けに食品ロスを削減できるサービスを提供できることがG-Placeの強みであり、食品ロスに取り組むきっかけとなった。
お得に買い物をして食品ロスも削減、地域課題の解決にもつながる三方よしのサービス「タベスケ」
タベスケは、自治体に紐づいた店舗が、システム上で自治体に申請をして承認をもらうことで、利用が可能。対象者は自治体(市区町村)、協力店(市区町村に紐づく)、消費者(市区町村問わず全国)だ。
仕組みは、店で在庫になっている食品や売切りたい食品があれば、食品関連事業者の方が直接タベスケ上に情報をアップロード。アップロードされた情報を消費者が見て、気に入ればシステム上で購入予約を行う。消費者は購入予約で設定した日時に、店へ食品を直接受け取りに行き、決済は通常の買い物通りお店で行うという仕組み。 「決済の機能を設けていない理由としては、食品ロスになりそうなものを、お得な値段で提供しているため、決済手数料などがあると、利益がなくなってしまうので、現地決済にしています。」
また、自治体はお店と消費者のやり取りをデータ化した数字を、専用の画面で集計として確認でき、現在の運用状況や今後の食品ロス削減施策に役立てる事ができる。現在何件出品されて、どれくらい売れて、食品ロスがどれくらい削減されているのかを、リアルタイムで数字が反映されるため、運用がしやすい。
「PR施策を進めると、一気に数字があがるというように、変動が目に見えるのが面白いと反響をいただいています。食品ロス削減の仕組みとして活用いただきながらも、お店のPRにも活用いただけるため、派生的に地域経済の活性にもつながります。」
登録している店舗からは、最初はシステムというだけで抵抗があったが、触ってみるととても簡単だったという声が多いという。
さらに、お店にくるお客さんが増えたり、タベスケ上での買い物をした上でついで買いがあったり、リピーターが増えたという効果もあるそうだ。
リリースから2024年12月末時点で、34 t以上の食品ロス削減を達成!2026年までに70自治体の導入を目指す
「2026年までには、70自治体の導入を、2030年までには100自治体の導入を目指し、既存自治体と新規自治体が互いの相乗効果で食品ロスの削減が活性化される状況を作りたいと考えています。」
タベスケの効果は面的に波及的に広がるものと考えているそうで、既存自治体の近隣に位置する自治体への導入が進めば、より多くの食品ロス削減が望めるようだ。
「今後より注力していきたいのが東海地方と関東地方です。すでに数は多い場所だけど意識が高いので、さらに盛り上げていきたいです。」
タベスケの特徴は、他のフードシェアリングサービスはスーパーなどの大きな事業形態が運用されているケースが多いのに対し、タベスケは地域の個人商店がメインで運用していることだ。スーパーでは導入されていない中で、34 t以上という数字が出せたことは、食品ロスに大きく貢献できているということだろう。
また、タベスケの利用料は自治体が支払うため、お店の負担が一切なく、運用は自治体が行っているという安心感も強い。自治体にとっては、ごみ処理にかかる費用が軽減されるメリットがある。
事業系食品ロスだけでなく、家庭系食品でもロスを減らせる意識作りを
自治体は食品ロスの発生の内訳を出すために、組成分析を行っている。組成分析とは、クリーンセンターで可燃ゴミの袋をあけて、食べられるものと食べられないものをわけて内訳を分析するというもの。
食品廃棄物のうち40%〜50%が未利用食品で梱包から全く開かれていない新品が捨てられている事例も多いそうだ。
「未利用食品の食品廃棄物が非常にもったいないという意識を自治体も持っていて、タベスケは事業系の食品ロスを対象としているので、お店の食品ロスを減らすのがメインとなっています。今後、タベスケを通じて事業系食品ロスの削減をしながら、家庭系食品でもロスを減らせる意識作りができるように、サービスをよりブラッシュアップしていきたいと思っています。」
食品ロス分野を牽引できる立場を目指す
「タベスケを始めてから、自治体の他、教育機関からも食品ロスに関する講演依頼のお声がけをいただくようになり、よりノウハウを蓄積しながら、食品ロス分野で先頭に立って牽引できる立場を目指していきたいなと考えています。」
「その他、自治体と二人三脚で、タベスケの周知をお店や住民に周知するために、一緒にお店をまわったり、チラシを配ったりしてきましたが、今後タベスケのPRサイトも充実させていきます。それに先駆けてXで食品ロスやタベスケのキャンペーンなどの情報発信を行っているため、ぜひご覧いただきたいです。」
株式会社G-Placeでは、社内部署である公共イノベーション事業グループによる「地方自治体の環境施策を企画・開発・支援する事業」を基盤事業とし、50年以上に渡り自治体へ事業を展開している。自治体向けのサービスは、基盤事業である「指定ごみ袋の有料化支援業務」の他、「ごみ袋や物品の提供」を行っているが、直近ではごみの分別アプリや粗大ごみの受付管理システムなどのシステム商材をメインに提供している。
企業名:株式会社G-Place
所在地:(本社)〒617-0835 京都府長岡京市城の里10-9
公式ホームページ:https://g-place.co.jp/
Xアカウント:https://x.com/tabesuke_green