自ら処理する場合

更新日

 廃棄物処理法には、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならない」という規定があります。このため、排出事業者である皆さんが、責任を持って保管、運搬、処分をしなければなりません。また、その際には処理基準を守る必要があります。
 もし基準を外れた処分等を行った場合、罰金等の刑罰や行政処分の対象となることがあります。

※以下に記載する内容は、産業廃棄物に関する基準です。特別管理産業廃棄物の保管、収集運搬及び処分の基準は別途規定されていますが、おおむね産業廃棄物の規定を準用しています。

目次

1 産業廃棄物を保管する

事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、定められた技術上の基準に従い、生活環境の保全上支障のないように、産業廃棄物を保管しなければならない。【法第十二条第二項】

(1)保管の場所【規則第八条】

  • 周囲に囲いが設けられていること。
  • 見やすい場所に、掲示板が設けられていること。

[掲示内容]

  • 産業廃棄物の保管の場所である旨
  • 保管する産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨)
  • 保管場所の管理者氏名又は名称及び連絡先
  • 最大保管高さ(屋外で産業廃棄物を容器を使わずに山積みで保管する場合)

[掲示板の例]

掲示板の例

(2)保管の場所における措置

  • 汚水が生ずるおそれがある場合は、公共用水域や地下水の汚染を防止するため、排水溝その他の設備を設けるとともに、底面を不浸透性の材料で覆うこと。
  • 屋外で容器を用いずに産業廃棄物を保管する場合は、高さ制限、斜面制限を守ること(最大保管高さ等の判定例参照)
  • その他、産業廃棄物が飛散・流出・地下浸透・悪臭発散しないような措置
最大保管高さ等の判定例

(3)害虫対策

保管場所にネズミの生息や、ハエや蚊などの害虫が発生しないようにすること

(4)石綿含有産業廃棄物及び水銀使用製品産業廃棄物を保管するとき

  • 石綿含有産業廃棄物及び水銀使用製品産業廃棄物が、その他のものと混合しないように仕切り等を設けること。
  • 石綿含有産業廃棄物を保管する場合には、覆いを設ける等の飛散防止のために必要な措置を講じること。

(5)保管場所における具体的な基準の適用等

  • できるだけ屋内で保管する。難しい場合は、市販の物置庫等を活用すると良い。
  • 汚水等が発生する場合は、周囲に排水溝を設け、沈殿槽や油水分離槽を設置する。
  • 液状の産業廃棄物を保管する場合は、防液堤(漏液全量受けられる「ます」)を設けて流出を防止する。
  • 床面はコンクリート等の不浸透仕上げ(可能ならば耐薬品塗装が望ましい)とし、汚水等の地下浸透を防止する。
  • 壁を利用して産業廃棄物を保管する際に、壁が産業廃棄物の荷重に耐えられる場合は、壁の上端から50cm下げた高さまでとし、荷重に耐えられない場合は、壁に接しないように産業廃棄物を積むこと。
  • 定期的な清掃、駆除剤の散布や蓋付き容器を使用することで、害虫等の発生を予防する。
  • 産業廃棄物の飛散や雨水浸透対策として、産業廃棄物をシートやネットで覆うと良い。
  • 分別した廃棄物が混ざらないように、容器や袋、仕切り板を活用する。

2 産業廃棄物を収集運搬する

事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、法に定められた運搬又は処分に関する基準に従わなければならない。【法第十二条第一項】
子会社や下請け業者・取引業者が運搬する場合は、自己運搬ではありません。
収集運搬業の許可が必要となります。

(1)自ら収集運搬する場合の基準

  1. 産業廃棄物が飛散、流出しないようにすること。
  2. 悪臭、騒音、振動で支障が生じないように必要な措置をすること。
  3. 産業廃棄物の飛散、流出や悪臭発散するおそれのない密閉容器、運搬車両を用いること。
  4. 収集又は運搬のための保管等の施設を設置する場合は、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないように、必要な措置を講ずること。
  5. 運搬車両の外側の見やすい位置に、ステッカー、ペイント等で表示し、かつ、運搬中の産業廃棄物に関する書類を備え付けておくこと(詳細は、「 表示及び書類備え付けについて 」をご覧ください)。
  6. 石綿含有産業廃棄物又は水銀使用製品産業廃棄物を破砕することなく、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して、収集運搬を行うこと。
  7. 収集運搬における具体的な基準の適用等 
  • 飛散や流出防止のため、産業廃棄物やその運搬容器は丁寧に扱う。
  • 運搬車両については、アイドリングストップを励行する。
  • 液状の廃棄物を運搬する場合は、廃棄物の性状に応じた運搬容器又はタンク車等を使用する。
  • 積み込み等に、重機を使う場合は可能な限り低騒音型のものを使用する。
  • 臭気の強い産業廃棄物の場合は、密閉容器を用い、車両に積載後カバー(ほろ)を掛ける。

(2)自ら運搬する場合の表示・書面

[産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する車両に係る表示内容]

車両を用いて産業廃棄物の収集又は運搬を行う際には、以下の事項を車体の両側面に見やすいように表示しておくこと。

  • 産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する運搬車である旨
  • 排出事業者の氏名又は名称

[表示例]

車両表示の例

[表示方法に関する注意事項]

  • 車両の両側面(車体の外側)の見やすい位置にわかりやすいように表示すること。
  • 表示は車体に直接塗装するか、プレートを車体に鋲で固定することが望ましい。やむを得ずステッカー、はめ込みプレート、マグネットにより着脱が可能な方法で表示を行う場合、ステッカー等の素材には風雨に耐えられるものを使用すること。また、走行中に破損したり、車体から外れたり、他者に容易に取り外されないようにすること。
  • 文字・数字には、車体・ステッカー等の色を考慮し、識別しやすい色を用いること。また、風雨でかすれたり、容易に書き換えられたりしないようにすること。汚れ等が付着した場合は、ただちに取り除くこと。

[運搬中の車両に備え付ける書面の内容]

車両を用いて産業廃棄物の収集又は運搬を行う際には、当該運搬車に以下の内容を記載した書面を備え付けておくこと。

  • 氏名又は名称及び住所
  • 運搬する産業廃棄物の種類及び数量
  • 積載日
  • 積載した事業場の名称、所在地、連絡先
  • 運搬先の事業場の名称、所在地、連絡先

[ディーゼル車規制遵守について]

 東京都は、自動車排出ガスによる深刻な大気汚染から都民の生命と健康を守るため、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」により、平成15年10月1日からディーゼ車規制を実施しています。このため、粒子状物質の排出基準を満たさないトラックやバスなどのディーゼル車は都内(島しょを除く。)を走行することができません。
 走行した場合は取締りの対象となり、運行禁止命令が出され、命令に従わない場合は氏名公表や50万円以下の罰金となります。

<ディーゼル車規制に関する問い合わせ先>
 担当:東京都環境局環境改善部自動車環境課
 電話:03-5388-3528

3 産業廃棄物を処分する

事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、法に定められた運搬又は処分に関する基準に従わなければならない。【法第十二条第一項】

焼却処分

産業廃棄物の焼却を行う場合は、法律の基準を満たす構造の施設を用い、環境大臣が定める方法で行うこと。【施行令第六条第二号イ、第三条二号イ】

[法律の基準を満たす構造]

  • 燃焼中は空気取入口と煙突の先端以外に開口部がないこと。
  • 燃焼ガスの温度が800度以上の状態で焼却できるものであること。
  • 燃焼に必要な量の空気の通風が行える構造(送風機などの設備)を有すること。
    など

[環境大臣が定める方法]

  • 煙突の先端以外から燃焼ガスを出さない。
  • 煙突の先端から火炎、黒煙を出さない。
  • 煙突から焼却灰、未燃物を飛散させない。
    など

<ご注意>

  • ドラム缶、一斗缶を使用した焼却も違法です。
  • 都条例では、原則として小型焼却炉等の使用を禁止しています。

施設の許可【法第十五条】

排出事業者が自己処理用として設置する場合でも、法第一五条に規定された処理施設の設置には、都道府県知事の許可が必要です。
*施設の許可の詳細・事前相談は、審査担当までお問い合わせください。

<問い合わせ先>施設の設置場所により問い合わせ先が異なります。
 東京23区及び島しょ地域:03-5388-3587
 多摩地区:042-528-2693

埋立処分【施行令第六条第三】

  • 安定型処分場(→廃プラスチック、ゴムくず、金属くず(鉛を含まないもの)、ガラス・コンクリート・陶磁器くず(石膏ボードを除く)、がれき類など)
  • 管理型処分場(→鉛を含む金属くず、木くず、紙くず、繊維くず、防水アスファルト、廃石膏ボード、廃油、汚泥など)
  • 遮断型処分場(→有害な特別管理産業廃棄物・産業廃棄物など)

<ご注意>
基準に適合させることなく、地中に埋めた場合は不法投棄とみなされます。

記事ID:021-001-20231206-008523