解体工事を行う施主(発注者)の方へ

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解体工事の施主(発注者)の方へ

新たに家を建てる際に既にあった建物を壊す場合などがあろうかと思います。新しい家に夢を託す前に、壊される家はどうなるのでしょうか?施主(発注者)の方にも是非気に留めていただきたいと思います。以下には、法律に基づく事項と東京都からのお願いを記載しています。建設廃棄物の適正処理のため、ご協力をお願いいたします。

平成14年5月30日から「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」(通称:建設リサイクル法)が施行されました。これに伴い、解体した建築物の資材の「分別」と「リサイクル」が義務づけられています。また、解体工事の実施には、建設業の許可又は解体工事業の登録が必要になっています。

施主(発注者)には、事前届出の義務があり、違反した場合は罰則が適用されます。また、工事を依頼しても、何か問題が発生すれば発注者責任が問われる可能性があります。そのため、施主(発注者)は信頼のおける業者に依頼する事が必要です。

施主(発注者)や元請業者(ハウスメーカー、工務店等)は次のことを行う必要があります。

1 解体工事前に以下のことを確認しましょう。

(1) 元請業者から施主(発注者)への説明

建設解体工事の元請業者は、施主(発注者)に対し、建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について書面を交付して説明することが必要です。

(2) 契約

施主(発注者)が元請業者とかわす対象建設工事の契約書面においては、分別解体等の方法、解体工事に要する費用及び再資源化等に関する費用や、再資源化のために特定建設資材廃棄物を持ち込む予定施設の名称等の明記が必要です。

石綿を含む建材が使われているかどうか、PCBやフロン等の有害物質がある場合には、適切に処理されなければなりません。

※(注意!)※ PCBを含む電気機器等は、工事業者(元請業者)の廃棄物として処理することは出来ません。所有者に処理責任があります。

(3)事前届出

施主(発注者)は工事着手の7日前までに、分別解体等の計画等について、特定行政庁(23区及び多摩の9市*)や都知事(10,000㎡以上)に届けることが必要です。お忙しい場合等、元請業者による代理申請は可能です。所定の届出書のほか委任状が必要となります。事前届出がなされていないことが判明した場合、20万円以下の罰則が科せられます。*八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、町田市、日野市、国分寺市

(4)告知・契約の確認

元請業者が、請負った建設工事の全部または一部を他の建設業者に下請させる場合、元請業者は下請業者に対して、都道府県知事への届出事項を告知した上で法第13条に基づく契約を結びます。また、廃棄物の処理・再資源化等は、元請業者が廃棄物処理法上の許可を有するものと契約を締結する必要があります。下請業者が許可を有していても、契約は解体工事と廃棄物処理とを別々に交わす必要があります。

(5)適正処理費用の確認

施主(発注者)の方のご意向を無視して、適正処理を無視できる元請業者はいないはずです。適正な処理費用が適正な処理施設に支払われるよう念押ししていただければありがたいと存じます。

(6)残存物の撤去

机、ロッカーなどの家具、事務機器、PCB使用電気機器やエアコン、冷蔵設備のフロンなどは、残存させず、解体前にあらかじめ撤去しておくことが必要です。

2 解体工事中は、以下のことを確認しましょう。

(1) 分別解体等、再資源化等の実施

廃棄物のリサイクル・適正処理のためには、きちんとした分別が重要です。現場を目で見て確認していただくことが一番安心です。

(2) 技術管理者による施工の管理、現場における標識の掲示

分別解体等、再資源化等の実施にあたって、解体工事業者は解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示します。また、工事の施工を管理する技術管理者の配置が必要です。なお、建設業許可業者が工事を行う場合は、建設業法に基づく標識の掲示や技術者の配置が必要となります。解体工事の技術管理者は、必ず専任である必要はありません。

(3) 近隣への配慮

解体工事の現場では、周囲の方からの騒音等の苦情に細心の配慮をしながら工事を進めることが重要です。


3 解体工事後

(1) 再資源化等の完了確認

元請業者は、再資源化等が完了したときは、その旨を施主(発注者)に書面で報告するとともに、再資源化等の実施状況に関する記録を作成、保存する必要があります。確認していただく事項は、再資源化等の完了年月日、再資源化等を行った施設名称及び所在地、再資源化等に要した費用です。

(2) 再資源化等が適正に行われなかった場合

元請業者から(1)の報告を受けた施主(発注者)は、再資源化が適正に行われなかったと認める時は、都道府県知事にその旨を申告し、適切な処置を取るよう求めることができます(法第18条第2項)。

再資源化が適正に行われなかった旨の申告窓口
23区、島しょの場合 環境局 資源循環推進部 産業廃棄物対策課 不法投棄対策担当
新宿区西新宿2丁目8番1号 都庁第二本庁舎 北側 19階
電話:03-5388-3446(直通)
FAX 03-5388-1381
多摩地域(八王子市を除く)の場合 多摩環境事務所 廃棄物対策課 規制指導担当
東京都立川市錦町4丁目6番3号 東京都立川合同庁舎 3階
電話:042-528-2694(直通)
FAX 042-522-9511

参考

罰則一覧

違反行為 罰則
産業廃棄物をみだりに捨てた場合(廃棄物処理法第25条)
*いわゆる不法投棄のこと
山野へ勝手に捨てる
許可なく勝手に穴を掘って埋める
許可なく勝手に海や川に捨てる等
*不法投棄未遂の場合も同様
5年以下の懲役
若しくは1,000万円下の罰金
又はこの併科
産業廃棄物の処理を無許可業者に委託した場合(廃棄物処理法第25条)
*無許可の者への委託、許可を持っていない下請業者に廃棄物を持ち帰ら
せる等
5年以下の懲役
若しくは1,000万円下の罰金
又はこの併科
許可を受けずに他人の産業廃棄物の収集運搬又は処分を受託した場合(廃棄物処理法第25条)
*許可を持っていない下請業者が廃棄物を持ち帰る等
5年以下の懲役
若しくは1,000万円下の罰金
又はこの併科
法律に定める委託の基準に従わず、他人に廃棄物の収集・運搬又は処分の委託をした場合(廃棄物処理法第26条) 3年以下の懲役
若しくは
300万円以下の罰金
又はこの併科
廃棄物の処理基準・保管基準係る改善命令に従わない場合
(廃棄物処理法第26条)
3年以下の懲役
若しくは
300万円以下の罰金
又はこの併科
両罰規定(法人の場合・廃棄物処理法第32条) 3億円以下の罰金等
マニフェストを交付せず、又は規定事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして交付した場合(廃棄物処理法第29条) 6ヶ月以下の懲役
又は
50万円以下の罰金

廃棄物処理法の規定で、罰則は排出事業者(元請業者)と処理業者の双方に科せられています。

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