アライグマ・ハクビシンについて
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アライグマ・ハクビシン対策の推進
都内では、国内外からさまざまな外来生物が何らかの理由で自然界に逃げ出すなどし、生態系や人々の生活への被害を引き起こしています。中でも近年、島しょ部を除いた区域におけるアライグマやハクビシン被害に関する相談が多く、さらには有害鳥獣捕獲許可に基づき捕獲される数が増加しています。
アライグマ・ハクビシンが引き起こす問題は、農林水産業や生活環境における被害、生態系への影響、人間への健康被害と多岐にわたり、被害地域も多摩地域だけでなく区部にも拡がっています。
このような状況を受けて、都では、都内のアライグマ・ハクビシン対策を進めるための基本方針として、「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」を策定し、区市町 と連携しながら対策を進めています。
アライグマ・ハクビシンってどんな動物?
アライグマ・ハクビシンは、在来種のタヌキやアナグマと顔の特徴が似ているため、見間違えられることがよくありますが、全身の特徴を理解すると区別することが可能です。
ここではアライグマ・ハクビシンの外見とともに、生態について説明します。
アライグマ(英語名:Raccoon)
学名
Procyon lotor
分類
食肉目(ネコ目)アライグマ科
原産地
北アメリカから中央アメリカ
導入と分布拡大の経緯
ペット用に輸入された飼育個体が逃げだしたり捨てられたりしたものが国内で繁殖した
形態
体長(成獣):40-65 cm
体重(成獣):3.5-11.0kg
食性
雑食性で、果実や野菜等の植物質から、小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類、昆虫類等の動物質のものまで幅広く食べる
生活
夜行性で、昼間は樹上のうろ、納屋や家屋、寺社仏閣の屋根裏などの中で休息している水辺を好み、河川や用水路、側溝などを移動経路として利用している木登りが得意、柱に登る、前足が器用で触覚にも優れる
繁殖
一般的に冬から春先に交尾をし、春から初夏に出産するが、夏以降の繁殖も確認されている一度に約1~6頭出産する
法令等の位置づけ
★「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)に基づく狩猟鳥獣
★「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)に基づく特定外来生物
★「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画」における 外来鳥獣
ハクビシン(英語名:Masked palm civet)
学名
Paguma larvata
分類
食肉目(ネコ目)ジャコウネコ科
原産地
東南アジアから中国南東部
形態
体長(成獣):40-60 cm
体重(成獣):2.0-5.5 kg
食性
雑食性で、果実や野菜等の植物質から、小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類、昆虫類等の動物質のものまで幅広く食べる 特に果実を好む
生活
夜行性で、昼間は樹上のうろ、納屋や家屋、寺社仏閣の屋根裏などの中で休息している
水辺を好み、河川や用水路、側溝などを移動経路として利用している
木登りが得意、柱に登る、電線を伝い歩きする、8センチメートル四方の隙間にも入り込む
繁殖
一年中繁殖が可能である(年に1回)
一度に約1~4頭出産する
法令等の位置づけ
★「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)に基づく狩猟鳥獣
★「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」(通称「生態系被害防止外来種リスト)における総合対策外来種(重点対策外来種)
★「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画」における外来鳥獣
アライグマ・ハクビシンが引き起こす問題
アライグマ・ハクビシンは、多様な環境で生息が可能であり、高い繁殖力を持つなどの特徴から、個体数を増加させ、分布域の拡大にも繋がったのではないかと考えられています。その結果、さまざまなところで問題が起きています。
生態系被害
特にアライグマによる在来生物への影響が懸念されています。
【全国での被害例】
- ニホンザリガニやエゾサンショウウオなどの捕食(北海道)
- トウキョウサンショウウオの捕食(神奈川県・東京都)
- ニホンイシガメの捕食(千葉県・愛知県)
- アオサギの卵等の捕食(北海道)
生活環境被害
アライグマ・ハクビシン共に、家屋侵入による建物の破損、糞尿による汚損等(特に天井裏)の被害が大きな問題となっています。
また、ネコやコイ、金魚やニワトリなどの飼育動物がアライグマによって捕食されたという事例もあります。
◆写真提供:関西野生生物研究所
農林水産業被害
アライグマ・ハクビシンともに、果樹や野菜、イモ類、飼料作物、マメ類を中心とした様々な農作物に深刻な被害を引き起こしています。
また、アライグマによるニワトリやアヒルなどの家禽類、コイやニジマスなどの養魚類への食害も多数報告されています。
◆写真提供:埼玉県農林総合研究センター 古谷 益朗
人獣共通感染症
アライグマやハクビシンは、複数の人獣共通感染症を媒介する可能性があると言われています。
また、両種からはペットに重篤な 感染症を引き起こす病原体が検出されています。