被害を防ぐために
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クマと出合わないために
ツキノワグマは、時速40kmで走ることができ、木登りが上手で、泳ぎも達者です。こんなツキノワグマに追いかけられたら、人間の運動能力では逃げきることは難しいでしょう。
襲われたら、命にかかわる場合もあります。出合ってからのことを考える前に、まずはツキノワグマと出合わないように対策をすることが重要です。
ツキノワグマが生息している山に入るときは、次のような方法で自分の存在をツキノワグマに知らせましょう。
- クマ鈴を付けて鳴らす
- 大きめの音量でラジオかける
- 大きめの声で会話する
- 手を叩きながら歩く
特に、目撃等の情報が多い場所やツキノワグマの行動が活発になる早朝、夕暮れの時間帯は注意が必要です。また、登山道で見通しの悪い場所や沢の音が大きく響く場所などではクマと鉢合わせしやすいため気を付けてください。
もしクマと出合ってしまったら
出合わないように対策をしても、出合ってしまう場合があります。
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ツキノワグマが遠くにいる場合
落ち着いて、その場を離れましょう。走ったり大声を出したりしてツキノワグマを驚かせてはいけません。 - ツキノワグマが近くにいる場合
ツキノワグマに背中を見せず、落ち着いて、ゆっくり後ずさりしてその場を離れましょう。ツキノワグマが向かってきたら、クマ撃退用スプレーが有効です。 - ツキノワグマに襲われた場合
うつ伏せになって丸まり、組んだ両手で首の後ろ側を、両ヒジで顔をガードしてください。ツキノワグマは人を食べるために襲ってくるのではなく、人を怖がっており、自分が逃げるために攻撃するので、抵抗せずに数分耐えれば逃げていくといわれています。
キャンプ場などでの注意点
- テントに食べ物のにおいが残るため、テント内での食事は避けましょう。
- 食べ物は密閉容器に入れ、可能であればテント外(車など)に保管しましょう。
- 使った食器類は、置きっぱなしにせず洗って片付けましょう。
- 生ごみは密閉袋に入れて持ち帰るか、クマ対策をしてある備え付けのゴミ箱に捨てましょう。
野生動物への餌づけは、野生動物が人に慣れ、集落へ行ったり人を襲ったりするようになるので、絶対にやめましょう!!
ツキノワグマを寄せ付けない集落づくり
ツキノワグマは、縄張りを持たず1日の移動距離も長いので、生息地付近の里山では人家付近を徘徊していることはよくあります。
ツキノワグマはとても嗅覚が優れています。食べ物だけでなく、ガソリン、エンジンオイル、ペンキなどのにおいにも強く反応します。
人家付近に来た際に、においをたどって倉庫などに食べ物があることを覚えてしまうと、繰り返し来るようになり、時にはドアや窓ガラスを破って人家に侵入して中を荒らすようなこともあります。
大事なのは、人家付近でツキノワグマを立ち止まらせないことです。
誘引物の除去
庭のカキやクリなどは放置せず早めに収穫し、屋内に保管又は適切に廃棄しましょう。利用しない果樹については、思い切って伐ってしまうのも一つの方法です。また、ツキノワグマが登れないよう幹にトタン板を巻きつけ、落ちた実を回収することも有効です。
果実酒や味噌、ドッグフード、ガソリンなどを倉庫などに保管するときは、においが出ないようにしてカギをかけましょう。
生ごみや廃棄果実、廃棄野菜を畑や庭にそのまま放置するのはやめましょう。
刈払い(伐開)
人家と山との間にあるブッシュ(ヤブ)はツキノワグマの隠れ場所となってしまいます。灌木や雑草を刈り払うことで見通しを良くし、ツキノワグマが近づきやすい環境をなくしましょう。
電気柵の設置
ツキノワグマの侵入を防ぐには電気柵も有効です。
電気柵を設置したら、すぐに常時通電してください。電気柵は、柵を警戒した動物が鼻などで探ったときに効果を発揮するものであって、柵の存在に慣れてしまった後は探ることをしないため効果が出ません。
また、食べ物に執着してしまった後では強行突破を試みるため、事前に設置しておくと効果的です。
漏電が起きないよう、柵の周囲の定期的な草刈りも大切です。
追払い
出没が続いたり、身の危険を感じたりした場合は、地元市町村や警察に相談し、ツキノワグマが出没した時間帯や早朝・夕方に爆竹を鳴らすなどして追払いをしましょう。
また、ツキノワグマを誘引している物が分かった場合は、速やかに取り除きましょう。
(参考)環境省ホームページ「クマに関する各種情報・取組」
(http://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/effort12.html)(外部サイト)
- 「クマに注意! 思わぬ事故をさけよう」(平成22年 環境省)
- 「豊かな森の生活者 クマと共存するために」(平成28年 環境省)
錯誤捕獲を防ぐために
都内においてはツキノワグマは狩猟禁止としていますが、山間部での狩猟に際しては錯誤捕獲が生じる恐れがあります。
狩猟者は、ツキノワグマの目撃等情報が多いところでは、なるべくわなを設置しないようにしましょう。または、大型獣用のはこわなを設置する場合は、万一に備えてツキノワグマの脱出口があるはこわなを使用しましょう。
もし錯誤捕獲してしまった場合には、原則、錯誤捕獲した者が直ちに放獣することとなっていますが、ツキノワグマの放獣はとても危険を伴う作業です。他県では、わなにかかったツキノワグマによる狩猟者の人身事故も発生しています。自力での放獣が困難だと感じたら、無理をせずに当該の市町村や警察、東京都多摩環境事務所にご相談ください。