アインズ株式会社の取組
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アインズ株式会社
 合成樹脂ゼロと石油系溶剤ゼロのダブルゼロを実現。画期的なインキを開発したアインズ株式会社。
  
                      
                      
アインズ株式会社 代表取締役社長 谷口彰さん
 「地球にとって、地域にとって、社会にとってSocial Goodな存在になることが目標」と話す。
① 主な事業内容を教えてください。
私たちは、1877年、活版印刷の草創期に創業し、納品書や請求書といった事務帳票の印刷事業を始め、その後、企業プロモーションで必要となったカタログやポスターの印刷と変遷し、現在はDXやAIを活用したマーケティングなどにも取り組んでいます。更に、商品開発や販売促進支援、デジタルコンテンツ制作など事業を広げてきました。
                     
                     
 (画像提供:アインズ株式会社)
② 大気環境改善のために、どのような取り組みを行っているのですか?
社会貢献も兼ね、環境に配慮した印刷インキ「eLinks®」を開発し、販売しています。
 「eLinks®」は、太陽光と反応して光化学スモッグの原因となるVOC(揮発性有機化合物)排出の一因となる石油由来の溶剤やプラスチック原料となる合成樹脂を一切使わず、環境への負荷を極限まで減らしたインキです。
※VOC(揮発性有機化合物)
 塗料・印刷インキ・接着剤・ガソリン等に含まれ、空気中に蒸発しやすく、太陽光によりNOx(窒素酸化物)と反応して光化学スモッグの原因となる。
                      
                      
大気環境に配慮したインキeLinks®
③ 取り組みが生まれたきっかけを教えてください。
石油由来の合成樹脂を使う従来のインキは、大気環境への負荷が高いという課題がありました。そこで印刷会社として何かできないかと思い、合成樹脂を全く使わないインキの開発を始めました。
 合成樹脂ゼロのインキの開発の過程で、原料を枯渇性資源の石油から植物油脂に変えました。石油系溶剤を使っていないため、結果としてVOC排出量ゼロを実現しています。
 印刷会社がインキを開発するという前代未聞の取り組みに、収益性や将来性に疑問が出て、「できっこない」という意見もありました。開発の難しさから10社ほどのインキメーカーに声をかけては断られ、最後に女神インキ工業株式会社との共同開発が実現し、約3年かけて大気環境に配慮したインキ「eLinks®」が完成しました。
                     
                     
  (画像提供:アインズ株式会社)
「eLinks®」は石油系溶剤を使っていないので、VOCの排出量がゼロとなっています。そして、「eLinks®」で印刷された印刷物は、リサイクル過程で生じるゴミを最大で約12%減少し、リサイクル紙の回収率が改善しました。
 また、インキ成分の約77%に再生可能原料を使っています。さらに水性タイプのインキでは、成分中の枯渇資源の比率を従来製品と比較して、約58%削減することができました。
                      
                      
④ アインズ株式会社のClear Skyとは?
環境への配慮は、企業の存続と成長に不可欠な要素になりつつあります。「環境改善」への強い使命感を持ち、「やらないとわからない」という前向きな気持ちで取り組んでいくことが大切です。
 「eLinks®」はすでに、東京都内の企業で広く使われており、これからも、技術革新を進め、大気環境に配慮した製品をより多くの皆様に提供していきます。
 将来的には、あらゆる世代が手に取る製品に広くこのインキが使用され、次世代へ環境保全の思いをつないでいくことを目標にしています。
(画像提供:アインズ株式会社)