Clear Sky サポーターアワード
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東京の空を世界一キレイに。
第1回 Clear Sky サポーターアワード開催
グランプリは株式会社タツノに!給油中に発生するガソリンベーパーを回収し液化する計量器を世界で初めて開発。
PM2.5や光化学オキシダントの低減に向け、それらの原因物質であるVOCやNOxの削減に取組む企業を称える「第1回Clear Skyサポーターアワード」を、2025年1月23日、J:COMコール田無にて開催しました。本アワードでは、世界最高水準の大気環境を実現しようという目標のもと、「Clear Skyサポーター」として登録しエントリーした企業・団体の中から、グランプリおよび敢闘賞を決定、表彰式を行いました。
大気汚染が大きな社会問題になった1950年代以降、煙・スス・排気ガスなどの大気汚染原因物質削減へのさまざまな取組により、東京の大気環境は大幅に改善されてきました。しかし、「光化学オキシダント」については、今も環境基準の達成率がほぼ0%のまま、毎年光化学スモッグ注意報が発令されるなど、多くの課題が残っています。
(※参考)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/09/02/16.html
PM2.5や光化学オキシダントの原因物質には、ものが燃えるときに発生する「窒素酸化物 NOx」、ガソリンやペンキ、印刷インキなどに含まれる「揮発性有機化合物 VOC」があり、自動車や工場、オフィス、そして一般家庭など身近な場所からも発生しています。
そこで東京都環境局では、世界最高水準の大気環境「Clear Sky」の実現に向けて、PM2.5や光化学オキシダントの原因物質であるNOxやVOCの削減に取り組む事業者・団体を、2019年より『Clear Skyサポーター』として登録しています。
今回初開催となった「Clear Skyサポーターアワード」では、エントリーいただいたClear Skyサポーターの中からグランプリを選出、その取組みを広めるとともに、功績を称え表彰するものです。投票は誰でも参加可能とし、ご来場者の投票と、オンラインによる事前投票を総合して集計しました。投票募集に際しては東京都環境局のClear Sky事業のページに掲載されている記事、YouTubeチャンネルのインタビュー動画などを参考に、「推し企業」への一票として投票いただきました。
ご挨拶
開会(須藤環境局長挨拶)
「アワードにエントリーいただいた企業の皆様は、多種多様な業界を代表し、それぞれの分野で積極的に大気環境改善に向けた取組を進めていただいています。その取組と実績は、東京都の大気環境改善を前進させる大きな原動力であり、東京都としても、その熱意と努力に深く敬意を表したいと思います。
各社の「キラリと光る発表」を通じて、大気環境改善のために自分、若しくは自社にできることのヒントを得ていただくことで、更なるClear Skyムーブメントに繋がっていくことを期待します。」
(小池知事からのメッセージ)
表彰式開催にあたり、須藤環境局長の挨拶に続き、小池百合子 東京都知事からのビデオメッセージが寄せられました。
「Clear Skyは、2018年に都が主催した国際会議で、大気環境の改善による健康リスクの低減を目指すことを宣言し、取組がスタートしました。
都は全国に先駆け、工場等の排ガスやディーゼル車の走行規制、ZEVの普及、VOC削減対策などを実施しています。また、Clear Skyサポーター制度の創設等で皆様とともに行動変容の取組を開始しています。今では、東京の空は澄みわたり、都庁から遠く離れた富士山の姿を年間100日以上も見ることができます。
私は、世界の大都市で最も水準の高い良好な大気環境の実現を目指しています。そのためには、先進技術も活用し、新たな取組にチャレンジしていく必要があります。本日、ご参加いただく事業者の皆様は、大気環境に配慮した設備投資や事業オペレーションに果敢に取り組まれています。是非、本日のアワードを通じて、皆様の取組を東京全体に発信してください。都も引き続き、全力で後押しします。私たちの地球、そして子供たちのために、一緒に東京の空を世界一綺麗な空にしていきましょう。」
エントリー企業紹介
・相川運送有限会社(運送業)
エコドライブの実践に取り組む相川運送有限会社は、東京都貨物輸送評価制度にて7年連続最優秀事業者に認定、運送事業者において環境保全活動に率先して取り組む事業者に贈られる東京都トラック協会「トップランナー賞」※を受賞しています。取組前に比べて10%燃費向上を実現、その後毎年約2%の燃費向上を継続中です。
※一般社団法人東京都トラック協会主催「グリーン・エコプロジェクト」内の賞
※急発進や急加速を抑えたエコドライブは、NOxやVOCの排出を減らすことにつながります。
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/torikumi/clearsky/clearsky_interview/03
・旭商事株式会社(燃料小売業)
1921年創業、ガソリンスタンドの運営を中心に自動車燃料・航空機燃料の販売、レンタカー事業などを行う旭商事株式会社は、エネルギーの安心安全な供給、地域生活への貢献に努めています。VOCを回収する新しい給油ノズルを導入することにより、大気中に放出されるガソリンベーパーの約81%を回収しています。
・SBフレームワークス株式会社(運送業)
デジタルタコグラフの導入により毎走行時の燃費改善を計測、エコドライブ評価を実施するSBフレームワークス株式会社。ドライバーが主体となって企画運営する「エコドライブ教育」、2023年からはEVトラック導入など、“輸配送ビジネスの脱炭素化への挑戦“を掲げ、14%の燃費向上、約3トンのCO₂排出削減やNOxの大幅削減を実現しました。
・株式会社NTSロジ(運送業)
1971年創業、独自の低温輸送システムやネットワークで首都圏の物流を支える株式会社NTSロジでは、トラックの耐用年数を7年以下に設定し車両の入れ替えを徹底しています。また、目標管理システムを用いたエコドライブにより全体で20%以上も燃費を向上、平均燃費は取組前の3.4km/ℓから4.2km/ℓまで改善しました。
※部品の劣化やタイヤの空気圧低下などが燃費維持を妨げるため、早期の交換が効果を上げることにつながります。
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/torikumi/clearsky/clearsky_interview/ntsroji
・株式会社光陽社(印刷業)
1949年創業の株式会社光陽社ではVOC削減と環境保全のため多岐にわたる取組が行われています。大気汚染の少ない作業工程や機材の導入、ノンVOCインキの使用、100%再生可能エネルギーを使用、日本サステナブル印刷協会を設立するなど、印刷業を持続可能な事業とするための努力が認められました。
※ノンVOCインキ:石油系溶剤を1%未満にして作られたもの
・株式会社タツノ(製造業)
110年の歴史を持つガソリン計量機メーカー最大手の株式会社タツノは、世界初の液化回収技術「エコステージ」を開発、給油中に発生するガソリンベーパー(ガソリンが蒸発した気体)を回収し、計量機内部で液化を行い資源として再利用することを可能にしました。現在、全国に4,000台以上のエコステージ内蔵計量機が設置されており、クリーンなガソリンスタンドへの取組を進めています。
※最高位モデル「エコステージD100R」の給油ノズルではVOC回収効率が最大99%に達しています。
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/torikumi/clearsky/clearsky_interview/tatsuno
・有限会社フルール(クリーニング業)
1963年創業、都内に14店鋪を展開するクリーニング会社の有限会社フルールでは、業界に先駆け20年程前からドライクリーニングに高効率の溶剤回収型乾燥機を使用しています。来客の分散にも取り組み、石油系溶剤が主流のドライクリーニングにおいて、溶剤消費量を96%も削減しました。
結果発表・表彰
エントリーした各Clear Skyサポーター企業の紹介に続き、投票結果を発表しました。壇上には大気環境研究の第一人者の埼玉大学名誉教授・坂本和彦氏も登壇、各社の取組に関する解説や、私たちが身近にできる環境配慮の話題も交えながら進行しました。
グランプリ発表
エントリーした各分野の企業7社の中から、栄えあるグランプリに選出されたのは、
株式会社タツノです!
株式会社タツノ 参与営業本部長兼営業部長 森泉直丈さん は
「皆さんの取組をお聞きして、正直なところ、弊社が受賞できると思っていなかった。
弊社タツノはClear Skyを実現するために取り組まれるガソリンスタンド様などの事業者の陰で支えていく企業である。このグランプリを頂いたことを機に、今後さらに大気環境を改善できるようメーカーとして努力を続けて参りたい。今後とも、ぜひ応援していただきたいです。」と喜びの言葉を述べました。
敢闘賞
努力と革新を伴う各社の取組に敬意を表し、以下の企業に敢闘賞が贈られました。(50音順)
・相川運送有限会社(運送業)
・旭商事株式会社(燃料小売業)
・SBフレームワークス株式会社(運送業)
・株式会社NTSロジ(運送業)
・株式会社光陽社(印刷業)
・有限会社フルール(クリーニング業)
結び(戸井崎環境改善部長挨拶)
「今回のアワードでは、VOCやNOx削減に向けた多くの素晴らしい取組を発表いただきました。得られた知見や交流を通じて、都内各地で大気環境改善の動きが一層広がることを期待しております。
東京都としても、皆さまの取組を引き続きご支援させていただきながら、Clear Skyの実現を目指してまいります。ご登壇いただいた皆さま、そしてご参加いただいたすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。」
大気環境の改善に希望をもたらす各企業の取組は、今後さらに発展していくことでしょう。東京都環境局はこれからも多くの企業・団体の挑戦を応援していきます。