株式会社光陽社の取組

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PM2.5や光化学オキシダントを低減させていくため、その原因物質である窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)の削減に取り組むClear Skyサポーターを紹介します。

株式会社光陽社

東京都文京区にある株式会社光陽社。

昭和24年(1949年)創業。印刷工程における写真製版を主な業務としていましたが、今日では主業務を最終成果物である印刷まで拡大し、お客様に喜ばれる良いものづくりを通じて社会の進歩発展に貢献している企業です。

 

〈光陽社 飯能プリンティングセンターBASE〉

〈生産本部 システム部 部長 千葉達也さん〉

こちらでは大気環境改善のためにどのような取り組みを行なっているのですか?

弊社では、
・ノンVOCインキの使用
・アルコールを使用しない湿し水(しめしみず)の使用
・印刷機のブランケットを洗浄する際、洗浄剤(有機溶剤の薬品)をかけない対応
などを行い、VOC排出削減の取り組みをしております。
印刷業は東京都の中でもVOCの排出量が2番目に多いと言われている業界でして、製造業の責務として、積極的にVOC削減の取り組みが必要だという認識をしております。

■VOCってなに?
VOC=揮発性有機化合物のことです。
「シンナー」や「ガソリン」、「除光液」など私たちの身の回りにもVOCが含まれているものがたくさんあります。VOCは蒸発しやすく、大気中で気体となり、光化学オキシダントやPM2.5の原因の1つとなります。

―実際に取り組んでいる様子を見せていただくことに・・・ 

・ノンVOCインキについて
印刷ではVOCの入ったインクを使用することがありますが、弊社ではVOCが含まれないインクの使用をしてVOCの排出を0にしています。

〈生産本部 プリンティングセンター 部長代理 齋藤洋志さん〉

〈ノンVOCインキの写真〉

・湿し水について
オフセット印刷という印刷方式は、インクと湿し水というもの混ぜて印刷を実施します。その湿し水にアルコールを入れると刷りやすくなります。しかしアルコールを使うとVOCが排出されてしまうので、弊社ではVOCの排出を0にしたノンアルコールの湿し水を使用する仕組みを導入しています。

〈こちらの機械で湿し水の精製をしています〉

・印刷機のブランケットを洗浄する際、洗浄剤(有機溶剤の薬品)をかけずに対応
ブランケットというゴムのローラーに画像を印字して、紙に転写するという仕組みで印刷をしているのですが、次の印刷を始める前に、一度ブランケットを洗浄しなくてはなりません。今までは、有機溶剤が入った洗浄液を噴射して洗っていたのですが、噴射するときにVOCが排出されていました。現在では、洗浄液がローラーに染み込んでいる材料に変えることで、VOCの排出を抑えています。

〈こちらが印刷の際使用するブランケット〉

そのような取り組みを始めたきっかけはなんですか?

2008年にグリーンプリンティング認定を取りました。そこで大気汚染防止というのが1つの大きなテーマになっておりました。それをきっかけに様々な活動を開始したという経緯です。

他にもなにか取り組んでいることはあるんですか?

弊社では、太陽光発電装置を導入したり、100%再生可能エネルギーを使用したりと、積極的に電力の節電に取り組んでいます。

電力の消費量を抑える=火力発電で使用する石油燃料の消費量を抑えることができます。石油燃料の使用が少なくなれば、大気に放出されるVOCの量も少なくなります。

大気汚染の少ない作業工程や機材の導入やノンVOCインキの使用によって、大気環境改善に取り組んでいる株式会社光陽社さん。最後に、サステナビリティ事業部 部長の佐々木様に夢を聞いてみました。

〈サステナビリティ事業部 部長 佐々木雅規さん〉

弊社はノンVOCインキの使用以外にも、印刷時のインクや水の使用量を削減したり、版の現像機では薬品を使用しないものにする、太陽光で自家発電をするなど、常に社会や社員への負担を少なくすることを考え、環境問題に取り組んできました。そして今では特に脱炭素への取り組みに力を入れています。

この2023年には、これらの弊社の取り組みにご賛同いただいた9社の印刷会社さんと、日本サステナブル印刷協会を設立しました。弊社は、大気汚染の防止を含めた、サステナビリティへの取り組みにおいて印刷業界をリードし、この取り組みを広げていくことで、印刷はサステナブルな事業であると、皆さんに認められるようにこれからも頑張っていきます。

記事ID:021-001-20240226-010934