太洋塗料株式会社の取組

更新日

PM2.5や光化学オキシダントを低減させていくため、その原因物質である窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)の削減に取り組むClear Skyサポーターを紹介します。

〈大気環境に配慮した塗料の製造に取り組む事業者紹介〉

太洋塗料株式会社 代表取締役 松村正浩さん

太洋塗料株式会社は、建築用や工業用など広範囲の塗料製品を製造、販売する企業として、環境問題への取組を行っています。Clear Skyサポーターとして「低VOC製品の製造・選択」等に取り組んでおり、水性塗料を中心とした“人と地球にやさしい塗料”の開発を行っている太洋塗料株式会社 代表取締役の松村正浩さんにお話を伺いました。

時代が変わり、ユーザーの意識が変わると使用するものも変わる。いずれ水性塗料が一般的になる時代が来ると考えていた。

PM2.5や光化学オキシダントの原因物質の一つである揮発性有機化合物(VOC)。塗料の製造においては、VOCを含む有機溶剤を使用することがあります。そこで、太洋塗料株式会社で行っている取組を教えていただきました。

「太洋塗料株式会社では、有機溶剤を使用しない水系塗料の製造及び販売を行っています。

塗料の水系化を始めたのは、私より前(先代)の昭和50年代からですね。ただ、当時の水系塗料は今のように完全な水系化というよりは、水溶性といって水で薄められるというもので、まだ一部有機溶剤は入っていました。

当初は、塗料を水系化するとコストがかかるために、なかなかユーザーから採用されなかったのです。先代社長は『何が何でも水性に変えていくんだ!』という方針でしたが、当時は材料もそこまで無かったため、材料をオリジナルで作ってもらったりしていました。」


コストや材料の確保などの困難がある中で、水性塗料の製造に挑戦し続けた理由は何でしょうか?

「当時の有機溶剤には有害なものも使っていましたから、いずれ今のような時代になると(先代は)考えていたと思いますね。

今は塗料を開発する上で水系は一般的になっていますし、できるだけ水系塗料を使いたいと社会全体が変わってきたと思います。建築関係の水性化が進んできていて、例えば、学校関係ではトルエンやキシレンなどの要件が設けられています。

新しく製品を開発する際には、可能な限り水系化を行い、どうしてもできない場合は、無溶剤とするか、あるいは弱い溶剤を使っています。」

水性塗料に変わったことで、人にも環境にも優しくなった。
描いて剥がせるペンタイプの水性塗料は臭いも少ないため小さな子どもにも安全。 2013年度にはグッドデザイン・ものづくりデザイン賞を受賞。

ISO取得をきっかけに取り組んだ、有機溶剤の使用量の削減。目標をつくっているから、社員も協力してくれている。

塗料の作成後に機材を洗浄する際などにも、有機溶剤を使用する場合がありますが、太洋塗料株式会社では、有機溶剤の使用量を削減することで、さらなるVOC排出削減に取り組んでいるそうです。

「ISO14001を取得したことをきっかけに、有機溶剤の削減に取り組みました。洗浄の溶剤をリユースすることにより、有機溶剤の使用量が減りました。そうすると廃棄物も減るので、コストの削減にもなりました。さらに、有機溶剤の削減に向けて取組を行うことで、工場で働いている人の意識が変わり、それ以外の分野における無駄の削減にも活きてきたと思います。

有機溶剤を削減することで、今までやってきたことに加えて、記録を付けるといった業務が加わりました。また、最近では塗料を新しく作るときに、使う原料を細かく調べるようにしています。

取組を開始した当初は、抵抗がある社員もいるかもしれないと思いましたが、皆が協力してくれました。目標を設定した上で取組をお願いしているので、面倒なこともやってくれているのだと思います。」

継続的な社内教育で、取組への意識が変わった。丁寧なコミュニケーションで、若い世代にも取組を伝えていく。


取組を社内に浸透させる為に、どのような点を意識していますか?

「危険物を扱うので社内教育をしっかりと行っています。全社会議を行うことで、社員からも意見をもらえますし、会議を行う前と比べると、明らかに意識が変わります。ずっとうちの会社に勤めてきた人だけではなくて、新しく入ってきた人もいて段々平均年齢も若くなっているので、全体の意識を保つためにも、絶えず教育を行う必要性を感じています。社員の質問する内容から、深く理解していることが伝わってくると嬉しくなりますね。」

Clear Skyサポーターに登録されましたが、今後の展望について教えていただけますか?

Clear Skyサポーター登録証明書を掲示し、大気環境改善の取組をPR

「環境問題に取り組む上で、職場環境を考えることも重要だと感じています。例えば業務を効率化したり、オンライン化を行って紙を減らすだけでも効果があると思います。若い世代の方はオンラインの方が慣れていて馴染みやすいですしね。そういった意味でも、今後も幅広いことに取り組んでいきたいと思っています。」

記事ID:021-001-20231206-009964