ロックペイント株式会社の取組

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PM2.5や光化学オキシダントを低減させていくため、その原因物質である窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)の削減に取り組むClear Skyサポーターを紹介します。

<大気環境に配慮した塗料の製造に取り組む事業者紹介>

ロックペイント株式会社 東京技術部次長 小宮誠治さん

ロックペイント株式会社は塗料メーカーとして、車両用、建築用、工業用、家庭用塗料の主力4事業で、「人と地球環境にやさしい商品とサービスの提供」をモットーに事業を進め、環境問題への取組を行っています。人と地球環境にやさしい事業推進を行う、ロックペイント株式会社東京技術部次長の小宮誠治さんにお話を伺いました。

塗料の欠点を少しでも減らし、良いところをさらに引き上げる

PM2.5や光化学オキシダントの発生原因の一つである揮発性有機化合物(VOC)。塗料の成分や、塗料の製造にVOCが使用されることがあります。そこで、ロックペイント株式会社で行っている取組について教えていただきました。

取組を始めたきっかけは何でしょうか?

「古くから塗料には揮発性の有機溶剤(VOC)が使用されており、それが大気に拡散し大気汚染や地球温暖化などに影響を与えることが懸念されてきました。一方、塗料は建物や車、家具などに美観を与え、サビや劣化を抑制し、ものの寿命を長くさせる効果があり、使う人、見る人の気持ちを豊かにさせ、かつライフサイクルコストの低減により地球環境問題にも大きく貢献しています。こうした塗料の特性を研究し、大気環境改善などに貢献できるよう、塗料の欠点を少しでも減らし、建築物の長寿命化などの塗料の良いところをさらに引き上げることが私たちの使命の一つと捉え、商品の開発、生産を行っています。」


大気環境改善につながる塗料には、どのようなものがありますか?

「従来は溶剤を多く含む塗料が標準的でしたが、その塗膜性能を下げることなく溶剤量を減らしたハイソリッド塗料や、溶剤を数%しか含まない水性塗料、さらには溶剤を全く含まない水性塗料や粉体塗料などが挙げられます。また、塗料中のVOC削減のみならず、塗膜の硬化温度を下げることができる低温焼き付け塗料や、夏場の室内や道路の温度上昇を抑える効果のある遮熱塗料などもあり、CO2削減などにも貢献しています。」

遮熱塗料による温度上昇抑制効果のイメージ。塗料の違いにより表面温度に5℃以上の差が出ている。

環境への取組や社会貢献活動などをさらに加速させるため、サステナビリティ経営推進部SDGs委員会を発足

大気環境改善の取組を浸透させるため、社内で行っている活動がありましたら教えてください。

「環境への取組や社会貢献活動などをさらに加速させるために、2019年にサステナビリティ経営推進部SDGs委員会を発足しました。この委員会は、社員一人ひとりの環境に対する意識を高め、効果の高い活動へと導くために、特定の部門ではなく、全ての部門の代表者によって構成しました。部門や世代の枠にとらわれず、全社員から大気環境改善はもちろんのこと、省エネ、社会貢献などの活動を募集し、社内の関係者、また、社外との協業によって、SDGs目標を達成させる仕組みを作りました。既に、全社にて60件を超えるSDGs活動が発信され、具体的活動へと進み始めています。」


SDGsに関する活動にはどのようなものがありますか?

「VOC削減の観点で言えば、技術部に関しては無溶剤化や水性化などの環境対応型塗料の開発推進が挙げられます。また、工場では設備を洗浄するために使用しているVOCを削減するために、使い方の見直しや回収・再利用を図る活動の他、製造工程では設備を稼働させるのに多くのエネルギーを使用しますので、無駄のないエネルギー使用を心がけて生産しています。

塗料の主原料となる樹脂の開発の様子

もちろんこの活動は塗料の開発や製造に限ったことではなく、営業や管理部門においても、文具や制服のリユースプロジェクトへの参加、使用済み切手やハガキの寄付をとおした保健医療活動への貢献、梱包材のバイオマス素材への変更、さらには、社員の健康増進・促進に向けた職場環境づくり、といったように、様々な部署が自分達で取り組めることを考え、提案してくれました。そもそもSDGsは環境だけでなく、人や社会など様々なものにやさしい取組と認識していますので、そういう意味では皆が知恵を絞ることで幅広い活動につながっていると感じています。現在、各部署で目標に向かって活動中ですが、こうした取組が少しでも定着し、より大きな成果に繋がるようにしたいですね。」

この先も樹脂開発技術や加工技術を発展させ、VOCを削減していく

今後の大気環境改善についての目標は何でしょうか?

Clear Skyサポーター登録証明書を掲示し、大気環境改善の取組をPR

「塗料品質の基盤となる樹脂開発技術、また、分散、混練などの加工技術をさらに発展させ、この先、5年間でおおよそ50%のVOCの削減を目指しております。また、塗膜の高耐久化などの付加価値の向上はもちろんのこと、リサイクル資源の活用、廃棄物の削減、再生可能エネルギーの活用などを推進し、Clear Skyサポーターとしての取組をより加速したいと考えています。」

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