東京都ゴルフ場農薬の安全使用に関する指導要綱
- 更新日
平成2年11月28日 2環水規第269号
改正 平成5年11月30日 5環水規第273号
改正 平成22年1月25日 21環自水第512号
改正 平成30年3月13日 29環自水第594号
改正 平成31年3月14日 30環自水第545号
改正 令和2年5月22日 2環自水第62号
改正 令和3年3月29日 2環自水第550号
(目的)
第1条
この要綱は、ゴルフ場において芝・樹木等の病害虫や雑草の防除等に使用される農薬の安全かつ適正な使用の確保を図ることにより、都民の健康の保護に資するとともに、生活環境および生態系の保全に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条
この要綱において、「農薬」とは、農薬取締法(昭和23年法律第82号。以下「法」という。)第2条第1項及び第2項に規定するものをいう。
2 この要綱において、「ゴルフ場」とは、ホールの数が18ホール以上であり、かつ、ホールの平均距離(コースの総延長をホールの数で除して得た数値)が100メートル以上の施設及びホールの数が18ホール未満のものであっても、ホールの数が9ホール以上であり、かつ、ホールの平均距離が150メートル以上の施設をいう。
3 この要綱において、「事業者」とは、都内に所在するゴルフ場を経営し、又は直接に管理・運営する者(当該ゴルフ場の造成工事が着手されたときの当該工事の発注者を含む。)をいう。
(知事の基本的責務)
第3条
知事は、事業者、防除業者及び農薬販売業者に対して、この要綱に定める事項が遵守されるよう指導・助言しなければならない。
(事業者の責務)
第4条
事業者は、農薬の使用にあたり、気象、地形、排水の放流先河川における利水状況等の環境条件を考慮し、周辺の住民等に影響を及ぼさないよう環境の保全に配慮するとともに、散布作業者の健康管理に努め、その責任において、この要綱に定める目的を達成するために必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、知事その他行政機関の実施する環境の汚染防止に関する施策に協力しなければならない。
(農薬の使用に係る環境保全計画書)
第5条
事業者は、農薬の使用をしようとするときは、農薬の使用に係る環境保全計画書(1号様式)を作成し、知事に届け出なければならない。
また、当該環境保全計画書を変更したときは、その変更内容を、速やかに知事に届け出なければならない。
(農薬の購入)
第6条
事業者は、農薬を購入するときは、法第3条の規定により登録を受けた製造業者若しくは輸入業者又は法第17条の規定による届出のある農薬販売業者から購入しなければならない。
2 事業者は、毒物又は劇物に該当する農薬を購入するときは、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第4条の規定により登録を受けた毒物劇物販売業者から購入しなければならない。
(農薬の保管、管理)
第7条
事業者は、農薬の盗難、紛失、流出、地下への浸透等を防止するため、施錠できる保管設備を設置するなど、農薬の適正な保管及び管理をしなければならない。
ただし、毒物又は劇物に該当する農薬を保管するときは、毒物及び劇物取締法の定めるところによる。
(登録農薬の使用)
第8条
事業者は、農薬を使用するときは、法第3条第1項又は第34条の規定により登録を受けた農薬を使用しなければならない。
(農薬の適正使用)
第9条
事業者は、知事が別に定める東京都病害虫防除指針等に基づき、防除の効果、周辺環境への影響を十分考慮して農薬を選定するとともに、農薬の使用量を必要最小限とするよう努めるものとする。
また、使用農薬の選定にあたっては、毒性の低いものを優先するものとする。
2 事業者は、農薬を使用するにあたり、次の各号に留意しなければならない。
(1) 強風時、降雨時など散布に不適切な状況が生じたときは、直ちに散布を中止すること。
(2) 農薬が河川・湖沼等へ直接流入しないよう注意すること。
(防除作業等の委託)
第10条
事業者は、病害虫や雑草の防除作業等を第三者に委託するときは、農薬管理指導士の資格を有するものがいる防除業者に委託するよう努めなければならない。
(農薬使用管理責任者)
第11条
事業者は、当該ゴルフ場の職員の中から農薬使用管理責任者を選任し、農薬の適正な使用・保管・管理を行わせなければならない。
2 事業者は、農薬使用管理責任者を選任するときは、知事から農薬管理指導士に認定された者の中から選任するよう努めなければならない。
3 事業者は、前項により選任した農薬使用管理責任者の氏名等を速やかに知事に届け出なければならない(2号様式)。
また、届出事項の内容を変更したときも同様とする。
(農薬使用管理責任者の職務)
第12条
農薬使用管理責任者は、毎年、農薬使用計画書(3号様式)を作成しなければならない。
2 農薬使用管理責任者は、農薬の使用に係る作業日誌(4号様式)を作成し、農薬の使用量等を記録しなければならない。
3 農薬使用管理責任者は、農薬受払簿(5号様式)を作成し、農薬の購入・使用の状況を記録しなければならない。
4 農薬使用管理責任者は、毎年、農薬使用報告書(6号様式)を作成しなければならない。
(水質の監視・調査等)
第13条
事業者は、雨水等の流入する調整池その他の場所において、魚類を飼育して異常の有無を監視するなど、ゴルフ場からの排水の常時監視に努めなければならない。
2 事業者は、主たる使用農薬について、当該農薬が高濃度で流出すると見込まれる時期に、ゴルフ場からの排出水又は調整池その他の場所における水の水質調査を行わなければならない。
3 事業者は、地下水を使用しているときは、当該地下水の農薬に係る水質調査を行わなければならない。
4 事業者は、第2項の水質調査の結果がゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水域の生活環境動植物の被害防止に係る指導指針(令和2年3月27日付環水大土発第2003271号環境省水・大気環境局長通知。以下「指導指針」という。)で定めた指針値を超えたとき又は前項の水質調査の結果が「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」(平成15 年10 月10 日付健発1010004 号)で定めた農薬類(水質管理目標設定項目)の対象農薬リストの目標値を超えたときは、速やかに知事に報告するとともに、知事の指導を受けて農薬使用量の削減等の必要な措置を講じなければならない。
(農薬使用計画書等の届出)
第14条
事業者は、第12条第1項に規定する次年度の農薬使用計画書を、原則として毎年2月末日までに知事に届け出なければならない。
2 事業者は、次の各号に掲げる報告書等を、原則として毎年4月末日までに知事に届け出なければならない。
(1) 第12条第3項に定める前年度の農薬使用報告書
(2) 前条第2項及び第3項に定める前年度の水質調査の結果(7号様式)
(環境保全計画書等の保存)
第15条
事業者は、第5条に定める環境保全計画書を永久保存しなければならない。
2 事業者は、次の各号に掲げる計画書等を3年間保存しなければならない。
(1) 第12条第1項に定める農薬使用計画書
(2) 第12条第2項に定める農薬の使用に係る作業日誌
(3) 第12条第3項に定める農薬受払簿
(4) 第13条第2項及び第3項に定める水質調査の結果
(事故発生時の対応)
第16条
事業者は、ゴルフ場若しくはその周辺環境に、農薬に起因すると考えられる異常の状況等が認められたとき又は異常の発生するおそれがあるときは、その危害防止のための応急措置を講ずるとともに、異常の状況等について、直ちに知事に報告し、知事の指示があったときは、その指示に従わなければならない。
2 事業者は、毒物又は劇物に該当する農薬が、流出、飛散、地下への浸透等の事故により、保健衛生上の危害の生ずるおそれがあるときは、その危害防止のための措置を講ずるとともに、毒物及び劇物取締法に定める手続によるほか、事故の状況等について、直ちに知事に通報しなければならない。
3 前2項に規定する危害防止のための措置が終了後、その内容を8号様式により、速やかに知事に報告しなければならない。
(講習会への参加)
第17条
事業者は、農薬使用管理責任者等を、知事、関係団体が行う講習会に積極的に参加させ、農薬の安全かつ適正な使用等の知識の普及・向上に努めなければならない。
(環境保全計画等の改善指導)
第18条
知事は、第5条に定める環境保全計画書及び第12条第1項に定める農薬使用計画書の届出があったときは、その内容について必要があると認めるときは改善指導を行うことができる。
(立入調査等)
第19条
知事は、この要綱の施行に必要な限度において、次の事項を行うことができる。
(1) 関係職員に、ゴルフ場に立ち入り、水質調査等を行わせること。
(2) 関係職員に、ゴルフ場に立ち入り、農薬の使用状況、排水の処理方法、帳簿その他必要な物件を検査させること。
(3) 事業者に対し、農薬の使用その他必要な事項に関する報告を求めること。
2 前項の規定により立入調査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(関係者への知識の普及)
第20条
知事は、事業者等に対し、農薬の安全かつ適正な使用及び保管、周辺環境の保全対策等についての知識の普及に努めるものとする。
(水道事業者に対する指導)
第21条
知事は、ゴルフ場における農薬散布等により、水道水源が汚染されるおそれのあるときは、水道事業者に対し、水質調査など適切な措置を講ずるよう指導・助言するものとする。
(区市町村等との連携)
第22条
知事は、区市町村、関係団体とゴルフ場の農薬使用に関する情報の交換を行うなど、緊密な連携を図るものとする。
(知事の指導・勧告)
第23条
知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者に対し、必要な措置を講ずるよう指導・勧告することができる。
(1) 環境保全計画書、農薬使用計画書等の届出をしないとき、又は虚偽の届出をしたとき。
(2) 登録農薬の購入及び使用について、この要綱に定める方法によらなかったとき。
(3) 水質調査等を実施しなかったとき。
(4) 農薬の使用に係る作業日誌等の記録をしないとき、又は虚偽の記録をしたとき。
(5) 農薬の流出、飛散、地下浸透等の事故を起こしたとき。
(6) その他農薬の安全使用に関し、適正な配慮を怠ったとき。
(氏名等の公表)
第24条
知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者の氏名及びその内容について公表することができる。
(1) 事業者が、正当な理由がなく、第18条に定める知事の改善・指導に従わないとき、又は第19条に定める立入調査等を拒否したとき、若しくは第23条に定める知事の指導・勧告に従わないとき。
(2) 事業者が、環境に重大な影響を与え、又はそのおそれのある事故を発生させたとき。
(3) その他知事が必要と認めるとき。
(類似施設に対する規定の準用)
第25条
知事は、「ゴルフ場」以外のゴルフ場類似施設に対し、必要があると認めるときはこの要綱に定める事項に準じた措置を講じさせることができる。
(補則)
第26条
この要綱に定めるもののほか、この要綱の施行に関して必要な事項は別に定める。
附則
- この要綱は、平成2年12月1日から施行する。
- この要綱は、平成5年12月1日から施行する。
- この要綱は、平成22年2月1日から施行する。
- この要綱は、平成30年4月1日から施行する。
- この要綱は、平成31年4月1日から施行する。
- この要綱は、令和2年5月22日から施行する。
- この要綱は、令和3年4月1日から施行する。