土壌汚染対策法の概要

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土壌汚染対策法のフロー図

(最終改正 平成31年4月1日施行)

1. 土壌汚染対策法の対象となる契機

※対象となる契機が追加されました。

(1)有害物質使用特定施設の廃止又はただし書き中の土地における一定規模(900m2)以上の形質変更(法第3条)

(2)土地の一定規模(3000m2、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場等の敷地においては900m2)以上の形質変更(法第4条)

(3)土壌汚染による健康被害のおそれのある土地の調査(法第5条)

(4)自主調査を用いた区域指定の申請(法第14条)

2. 土壌汚染状況調査

土壌汚染の状況を把握するため、汚染の可能性のある土地について、一定の契機をとらえて調査を行う。

(1)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査(法第3条)
使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者等は、当該土地の土壌汚染の状態を指定調査機関に調査させ、 その結果を都道府県知事に報告しなければならない。ただし、土地利用の方法からみて人の健康被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときを除く。
また、土地の所有者等は、上記の確認を受けた土地について一定規模以上の土地の形質の変更を行う際は、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならず、届出を受けた都道府県知事は、土地の所有者等に対して、当該土地の土壌汚染の状態を指定調査機関に調査させ、その結果を都道府県知事に報告すべきことを命ずる。

(2)土壌汚染のおそれがある土地の形質の変更が行われる場合の調査(法第4条)
一定規模(3000m2、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場等の敷地においては900m2)以上の掘削等の土地の形質の変更を行おうとするものは、形質の変更に着手する30日前までに、一定規模以上の土地の形質の変更届出書を都道府県知事に届け出なければならない。土地所有者等は、あらかじめ土壌汚染状況調査を指定調査機関に実施させ、土地の形質の変更の届出書にあわせて、調査結果を提出することができる。なお、都道府県知事は、土地の形質の変更の届出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質に汚染されているおそれがあると認めるときは、土地の所有者等に対して、当該土地の土壌汚染の状態を指定調査機関に調査させて、 その結果を都道府県知事に報告すべきことを命ずることができる。

(3)土壌汚染による健康被害のおそれのある土地の調査(法第5条)
都道府県知事は、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがある土地と認めるときは、当該土地の土壌汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に調査させ、その結果を報告すべきことを命ずることができる。

(4)指定の申請(法第14条)
土地の所有者等は、自主的に土地の有害物質による汚染状況を調査した結果、指定基準に適合しないと思料するときは、都道府県知事に対し、当該土地について要措置区域等に指定することを申請することができる。

3. 要措置区域、形質変更時要届出区域への指定


(1)都道府県知事は、土壌汚染状況調査の結果、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない土地については、要措置区域または形質変更時要届出区域として指定する。

 
要措置区域
(法第6条)
  • 有害物質の摂取経路があり、健康被害が生じるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域
  • 汚染の除去等を記載した計画書を作成し、提出すべきことを都道府県知事が指示する(法第7条)
  • 土地の形質変更の原則禁止(法第9条)
形質変更時要届出区域
(法第11条)
  • 有害物質の摂取経路がなく、健康被害が生じるおそれがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む。)
  • 土地の形質変更時に都道府県知事に計画の届出が必要(法第12条)

(2)都道府県知事は、要措置区域及び形質変更時要届出区域について、台帳を調製し閲覧に供する。
(3)汚染の除去が行われた場合には、要措置区域、形質変更時要届出区域を解除する。
(4)1年毎に土壌搬入状況の届出を行った場合、認定調査時の調査対象物質を限定することができる。

4.汚染土壌の搬出時の届出(法第16条)

※要措置区域等から土壌を搬出する際にはあらかじめ届出が必要です。

要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土地の土壌を区域外に搬出しようとする者は、土壌の搬出に着手する14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。

5.指定調査機関(法第29条~第43条)

  • 土壌汚染状況調査は、指定調査機関が行う。(法第3条)
  • 指定調査機関は、技術的能力等を有する調査事業者の申請により、環境大臣が指定する。(法第29条)
  • 指定調査機関は、5年ごとにその指定の更新を受けなければ、その効力を失う。(法第32条)
  • 指定調査機関は、土壌汚染状況調査等の技術上の管理をつかさどる者として技術管理者を選任しなければならない。(法第33条)

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。 (土壌汚染対策法に基づく指定調査機関一覧 ) (外部サイト)

6.指定支援法人

土壌汚染状況調査及び汚染の除去等の措置等を円滑ならしめるため、要措置区域内の土地において汚染の除去等の措置を講ずる者に対する助成、土壌汚染状況調査についての助言、普及啓発等の事務を行う指定支援法人を設置する。指定支援法人には、平成22年3月3日現在で  外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。 財団法人日本環境協会 (外部サイト) が指定されている。

7.指定基準

「土壌溶出量基準」とは、地下水経由の摂取による健康影響の観点から定められた基準であり、 「土壌含有量基準」とは、汚染された土壌の直接摂取による健康影響の観点から定められた基準である。

特定有害物質 指定基準
土壌含有量基準 土壌溶出量基準
 

クロロエチレン
(別名:塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)

第1種
特定有害物質
  検液1Lにつき
0.002mg以下であること
四塩化炭素   検液1Lにつき
0.002mg以下であること
1,2-ジクロロエタン   検液1Lにつき
0.004mg以下であること
1,1-ジクロロエチレン   検液1Lにつき
0.1mg以下であること
1,2-ジクロロエチレン   検液1Lにつき
0.04mg以下であること
1,3-ジクロロプロペン   検液1Lにつき
0.002mg以下であるこ
ジクロロメタン   検液1Lにつき
0.02mg以下であること
テトラクロロエチレン   検液1Lにつき
0.01mg以下であること
1,1,1-トリクロロエタン   検液1Lにつき
1mg以下であること
1,1,2-トリクロロエタン   検液1Lにつき
0.006mg以下であること
トリクロロエチレン   検液1Lにつき
0.01mg以下であること
ベンゼン   検液1Lにつき
0.01mg以下であること
カドミウム及びその化合物 第2種
特定有害物質
土壌1kgにつき
45mg以下であること
検液1Lにつき
0.003mg以下であること
六価クロム化合物 土壌1kgにつき
250mg以下であること
検液1Lにつき
0.05mg以下であること
シアン化合物 遊離シアンとして土壌1kgにつき
50mg以下であること
検液中に検出されないこと
水銀及びその化合物
(うちアルキル水銀)
土壌1kgにつき
15mg以下であること
検液1Lにつき 0.0005mg以下であること
(検液中に検出されないこと)
セレン及びその化合物 土壌1kgにつき
150mg以下であること
検液1Lにつき
0.01mg以下であること
鉛及びその化合物 土壌1kgにつき
150mg以下であること
検液1Lにつき
0.01mg以下であること
砒素及びその化合物 土壌1kgにつき
150mg以下であること
検液1Lにつき
0.01mg以下であること
ふっ素及びその化合物 土壌1kgにつき
4000mg以下であること
検液1Lにつき
0.8mg以下であること
ほう素及びその化合物 土壌1kgにつき
4000mg以下であること
検液1Lにつき
1mg以下であること
シマジン 第3種
特定有害物質
  検液1Lにつき
0.003mg以下であること
チウラム   検液1Lにつき
0.006mg以下であること
チオベンカルブ   検液1Lにつき
0.02mg以下であること
PCB   検液中に検出されないこと
有機りん化合物
  検液中に検出されないこと
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