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Saving Food/Materials ×公益財団法人東京動物園協会

更新日

日々の生活で感じる「もったいない」と思う気持ち、大切にしたいですね。食品ロスやプラスチックの削減、省エネなどに取り組む「チームもったいない」の活動に参加する企業の取組について、随時紹介していきます。

<人と動物の「未来」のために環境問題に取り組む団体を紹介>

公益財団法人東京動物園協会 総務部 営業課長 進藤明美さん

人と動物の懸け橋となり、

共に生きていくことのできる地球環境に導くために。

東京動物園協会は、地球環境対策委員会を設置し、プラスチックごみや食品ロスの削減に取り組んでいます。動物とその生息環境の知識を広め、人と動物が共存する社会の懸け橋となるために、どのように施策をすすめているのか、総務部の進藤さんにお聞きしました。

現場スタッフで“タスクフォース”を結成し

使い捨てプラスチック製品を紙製に切り替えることに成功。

東京動物園協会は恩賜上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園等の管理・運営を行っています。生物に直接関わる団体として、海の環境や野生動物の保全に関するさまざまな活動に力を入れてきました。

『私たちは野生動物と来園者の架け橋になる立場だと思っています。野生動物を保全していくためには、必要なものを必要なだけ使い、環境を守っていくことが大切であることを園内の掲示物や教育普及活動で発信し、子どもたちやお客様にお伝えしてきました。』

そのうえで、世界的に深刻な問題となっている海洋プラスチックごみ問題への対応の一環として、園内のプラスチック製品を紙製に切り替える取り組みに着手しました。

『使い捨てプラスチックの使用量の削減は、世界的に見ても、また、特に水族園を運営している私たちにとっても一番に考えなければならない問題でした。実際に当時、4園のギフトショップやレストランなどで使用される使い捨てプラスチック製品の使用量はかなりのものでした。』

どのようにしたら削減できるのか、店舗で働く従業員で“タスクフォース“といえるチームを結成し、話し合いを進めたそうです。

『その結果、まずは2018年12月から葛西臨海水族園のレストランで使用していたプラスチック製のストローを紙製に変えることから始めました。その後、2019年10月には、スプーン、フォーク、デザートカップ、ドリンクカップ類、ショッピングバッグを完全に紙製に切り替え、現在では感染症対策などでやむを得ない一部の製品を除き、使い捨てのプラスチック製品は一切提供していません。他の3園においても2020年1月から順次紙製への切り替えを進めています。』

しかし、プラスチックのストローは1本1円ほどなのに対し、紙製は約4円。公益事業の原資となる収益を確保しながら運営する中で、このマイナス面をどう解決していくかが大きな課題となりました。

『コストがかかる上に、紙にしたところで“使い捨て”になるのはプラスチックと変わりません。地球環境対策委員会やタスクフォースのメンバーで話し合う中で、どうしたらお客様に“できるだけ少ない量をお使いいただけるか“ということも同時に考えるようになりました。』

紙製のショッピングバッグと
カップ、ストロー、スプーン、フォーク

“できることから一緒に始めませんか?“来場者に呼びかける

「SAVE THE Green and Blue EARTH」キャンペーンを実施。

webサイトでキャンペーンをお知らせするためのバナー

そこで来場者の方々に環境対策の取り組みを広く知っていただくために行ったのが「SAVE THE Green and Blue EARTH」キャンペーンです。レストランやギフトショップでマイバッグなどをご持参いただいた方には会計の際に割引するシステム。小分け用の袋やストローもお申し出のあった方にだけお渡しすることに。

『ギフトショップでは会計時に、多くのお客様から、お土産を小分けするための袋を求められます。そのため来場者の多い繁忙期は、お客様に言われなくても小分け用の袋を入れてしまうのが通常でした。しかし、必要でしたらお申し出ください、と大きなパネルやポスターで呼びかけたところ、紙自体の使用量が削減されたのです。」

小分け用の袋を希望する方に呼びかけるパネル

また、キャンペーンの初日にはTwitterを利用し各園の園長が動画で取り組みを紹介。上野動物園だけでも100万人を超えるフォロワーがいるため、取り組みを広く拡散できました。

『キャンペーンによって「自分に何ができるのか日常で考えるようになった」などのコメントをTwitterでいただき、「できることから一緒に初めませんか?」という私たちの思いがお客様に届いたと手応えを感じました。』

また、現場のスタッフの意識にも大きな変化がありました。

『みんなでアイデアを出していく中で、一人ひとりが“自分事”として捉えるようになりました。また、動物園・水族園の一員として環境保全に取り組むことは、我々の理念である“人と動物の共存”を叶えることに繋がっていることを、一人ひとりが再認識できたのです。職員もマイバックやマイタンブラーを持参し、職場にマイ箸を置くようになったという声もたくさん聞くようになりました。』

食品ロス問題は30年前から実践。

さまざまな世代への教育普及活動を

今後もいっそう進めていきたい

同協会はプラスチックごみ対策を進めていますが、食品ロス対策にも長年にわたって取り組んできました。園内で多くのレストランやフードショップを運営しているため、なんと30年以上前から廃棄食品を減らす努力をしています。そのひとつが動物園オリジナルのカレーソースです。

『毎日たくさん作ると、余って廃棄する可能性が出てしまうため、一食分ずつの個包装で、冷凍保存できるものをメーカーと協力して制作しました。今後も食品廃棄を減らす取り組みを進めていきたいと思っています。』

『環境への取り組みは0か100かではなく、自分にとって持続可能なことから、できる範囲で始めることが大切だと思います』とおっしゃる進藤さん。
コロナ禍では臨時休園などもあり、来場者に直接アプローチすることが難しい状況が続いていますが、今後は、また別の角度から一人ひとりの意識を変えるような取り組みを考えていきたいそうです。

環境保全に取り組むことは、人間だけでなく動物たちのためにも非常に重要です。物を大切にする、できるだけ自然由来のものを選ぶなど、みなさんもできることから始めてみませんか?

記事ID:021-001-20231206-008936