Saving Materials ×株式会社文伸

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日々の生活で感じる「もったいない」と思う気持ち、大切にしたいですね。食品ロスやプラスチックの削減、省エネなどに取り組む「チームもったいない」の活動に参加する企業の取組について、随時紹介していきます。

<環境に優しい印刷物の普及に取り組む企業を紹介>

「株式会社文伸」代表取締役社長 川井信良さん/工場長 環境管理責任者 有馬靖了さん

有馬靖了さん(左)、川井信良さん(右)

地域に根ざした「もったいない活動」を積極的に行っている株式会社文伸。環境に優しい印刷物づくりを認定する制度「グリーンプリンティング」の認定工場でもあります。代表取締役社長の川井信良さんと、取組を推進した工場長の有馬靖了さんにお話を伺いました。

印刷業界でも広がっている

さまざまな「もったいない活動」に取り組む

最近では、印刷業界においても地球環境に配慮した様々な活動が広がりつつあるそうです。株式会社文伸が取組んでいる活動のひとつに、メーカーの富士フィルムと協働参加しているCO2削減プロジェクトがあります。

有馬さん『このプロジェクトは、CO2をカーボン・オフセットして発展途上国の支援に役立てるというものです。仕組みとしては、メーカーが作る環境に配慮した材料を使ってできる限りCO2の排出を減らした上で、印刷工程でどうしても出てしまうCO2をカーボン・オフセットします。昨年は40トン分のCO2をオフセットし、メーカーである富士フィルムを経由してケニアの自家発電のプロジェクトを支援しました』

文伸ではその他にも、地域に根ざしたエコ活動に力を入れています。

有馬さん『印刷業では印刷後にどうしても余る紙が出てしまします。私たちは、その余った紙を使ってメモ帳やノートを作り、お客様や学生インターンにプレゼントしたり、地元で行われるイベントの来場者に差し上げています。七夕の時期には、余った紙で短冊を作って地域の保育園幼稚園にプレゼントしています。またわが社は、2か月に1度、土曜の出勤日に社員全員で地域のゴミ拾いを行っています。これは社内からやってみようという声が出て、スタートした取組です』

川井さん『こういった取組は社員たちが楽しんでやることが大事ですよね。メモ帳も「書きやすい」と好評いただいております。作っている社員もみなさんに喜んでもらおうと、書きやすい紙を選んだりして工夫しているようです』

印刷後に余った紙は、メモ帳やノートにして有効利用

あまり知られていない環境に優しい商品を

もっと広めていきたい

本やパンフレットなど幅広く商品を取り扱う中で、積極的に地球や環境に優しい商品を提案しているそうです。

有馬さん『例えば、バナナペーパーという紙があります。普通の紙は木を切って作られたものですが、この紙はバナナの幹の枯れた部分を使っていて、森林保護や絶滅危惧種の動物と共存できるというメリットがあります。この紙を使って3000人規模の会社で1人100枚ずつ名刺を作ると、ザンビアの村がひとつ救われると言われているくらい価値がある商品です。また、領収書の発送などに使われる窓付きの封筒は、最近では窓の部分も紙で作られていてリサイクルできる商品があります。このように地球環境のためになる情報を、営業活動を通じて広く発信することも私たちの役目だと思っています』

地域のためにも、社員のためにもなった

環境にやさしい工場づくり

文伸がこのような「もったいない活動」に取組むようになったのは、「グリーンプリンティング認定制度」の取得がきっかけになったそうです。

有馬さん『グリーンプリンティングは、一般社団法人日本印刷産業連合会が策定した印刷業グリーン自主基準にもとづく業界独自の環境認定制度です。有機溶剤の扱いや騒音・振動などの課題に向けて取組むため、工場が主体となった認証となっています。わが社では2015年に入ってすぐに取得に向けて動きはじめ、同年の6月に認証されました。現像液を使わない印刷機の導入で、年間で約300時間費やしていた現像液交換・洗浄作業がなくなり、作業中の臭いなどの従業員の身体に対する負担も随分減りました』

川井さん『わが社の工場は住宅地の中にあるので、できる限り周辺環境に配慮したいと思っています。グリーンプリンティング認定に取組んだことで、社員の負担を減らせましたし、環境に優しい工場づくりもできて、良いことづくしだと思いました』

文伸の印刷工場。グリーンプリンティングの基準に合わせ設備を行い、さらに働きやすい環境となった。

文伸はグリーンプリンティングで作られた印刷物を普及することにも力を入れ、2017年から3年連続で普及準大賞を受賞。全国で400社ある認定工場の中で、ベスト5に入る活躍を遂げています。

有馬さん『世の中に出ている本がどのように作られているか、一般の方々は見ることができませんよね。でも普通、本はそれを作るために何ページかに1度、版を入れ替えるため有機溶剤を使って印刷機を洗浄しています。目には見えないけれども、本にはどうしても有機溶剤が含まれてしまうので、特に絵本などの小さいお子さんが手に取るような本は、グリーンプリンティング商品をおすすめしています』

川井さん『最近では、環境に配慮したものを作りたいというお客様も増えていて、意識の変化を感じています。これからは、環境に優しい商品をわが社のスタンダードにしたいですね』

株式会社文伸の取組から、普段何気なく手にしている印刷物にも、環境に配慮したものがあるということを知ることができました。大切な資源を使って作られている紙や本。私たちも無駄なく使うことを心がけ、できる限り再利用したいですね。

記事ID:021-001-20231206-008940