Saving Energy ×株式会社LIXIL

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日々の生活で感じる「もったいない」と思う気持ち、大切にしたいですね。食品ロスやプラスチックの削減、省エネなどに取り組む「チームもったいない」の活動に参加する企業の取組について、随時紹介していきます。

<再配達縮減に伴うCO2の削減に取組む企業を紹介>

「株式会社LIXIL」エクステリア事業部 エクステリア商品開発部 第三商品開発室長 向中野雄彦さん

社会問題とユーザーのストレスを

同時に解決することがミッション

2019年5月1日より、東京都江東区・江戸川区で『IoT宅配ボックスによる再配達削減「CO2削減×ストレスフリー」実証プロジェクト』のモニター調査を開始した株式会社LIXIL。エクステリア建材の開発担当としてプロジェクトに携わる、エクステリア事業部 エクステリア商品開発部 第三商品開発室長 向中野雄彦さんにお話を伺います。

ことの発端は2017年。Eコマース市場の成長で宅配便の取扱数が増え、配送業者の人手不足の問題が広く知られることとなりました。宅配便の取扱量は2017年度で42億個を超え、その中で約2割(8億個)もの荷物が再配達されています。再配達によって排出されるCO2は、年間約42万トン。これは労働問題としてだけでなく、環境問題でもあるということが明らかになりました。

『弊社では既に2016年に宅配ボックスを発売していたのですが、当時は社内でもあまり注目されていませんでした。その頃はまだ、宅配ボックスなんて必要なの?という意見のほうが一般的だったのです。ところが、2017年に入って再配達の問題が広く知られるようになると、宅配ボックスの売り上げがぐんと伸び、世の中が変化していることを感じました。そこでユーザーの声を聞くと、再配達はユーザー側もストレスを感じているということが分かったのです。それなら社会問題とユーザーのストレスを同時に解決しようと、商品開発を始めました』

従来の宅配ボックスのデザインや機能面を改良し、業界初となる戸建て住宅用のIoT宅配ボックス、「スマート宅配ポスト」ができ上がります。そして2019年の5月から当プロジェクトがスタート。環境省の「COOL CHOICEできるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」にも賛同している、江東区・江戸川区と協力し、同地区の戸建て住宅を対象とした約100世帯に無償で宅配ボックスを設置。再配達の削減によるCO2の削減効果やユーザーのストレスの変化などを検証しています。

LIXIL宅配ボックス スペシャルサイト(https://www.lixil.co.jp/lineup/gate_fence/s/deliverybox/)では、モニター調査の中間結果を公開しています

再配達率が41%から16%に減少し

約301kgのCO2削減に成功

同社が発表した中間報告によると、IoT宅配ボックスの設置により、2019年5月から7月の期間で再配達率が41%から16%に減少。それにより期間中、約141時間の宅配業者の労働時間削減、約301kgのCO2削減(杉の木約22本のCO2吸収量に相当)となりました。

『その他にも、9割以上のユーザーが宅配便の荷物受け取りに関するストレスが減ったと答えました。また、8割以上のユーザーが、再配達労働問題、CO2の問題について関心が高まったと回答しました。宅配ボックスを利用して再配達が減ると、社会に貢献しているのだという実感が生まれるのは、非常に大きなポイントだと考えています』

プロジェクトを通じて

社員の環境への意識がさらに高まった

このプロジェクトチームには、向中野さんをはじめとする開発担当だけでなく、営業職なども含め様々なメンバーが携わっています。向中野さんはこの仕事を通じて、改めて社員の環境問題全般への意識が高まったと感じました。

昨年、コミュニティデーで配布した紙ストロー

『LIXILでは「マイボトル推進運動」や「THINK HEAT〜考えよう人と地球にやさしい温度」などの活動に取組み、環境問題に対する意識づけを行っています。また、この他にも、世界各国・地域の従業員一人ひとりが、地域社会に貢献することを目指し行われる全社イベント「LIXILコミュニティデー」を2017年より実施しており、昨年、本社ではオフィスビルのロビー階で紙ストローを配布するといった活動も行いました。ちなみに、私の勤めている長野の事業所では、普段からゴミの排出量を減らすためにゴミを8種類に仕分けています。分別するのがかなり手間なのでおのずとゴミが減っていき、毎年ゴミの排出量は減っています。そういった普段の活動を通じての学びもありますし、今回のプロジェクトで社会全体の環境問題についての意識の高まりを感じたことで、開発の捉えた方やモノづくりの考え方も変わっていくと思いました。その意味では、これからは環境や社会に貢献できる商品が当たり前になっていくかもしれませんね』

『今後はもう一歩踏み込んで、更なる効率化を図り再配達削減やストレス減少を目指していきます。例えば、IoTを活用することで、ご近所と宅配ボックスをシェアできたり、ユーザーが随時応答しなくても2個目以上の複数の荷物が受け取れる仕組みなどを考えていきたいです』

一人の意識が変わることで、どんどん世の中が良くなることをこのプロジェクトで実感できたという向中野さん。再配達の問題を意識するなど、普段の生活の中で行動を変えれば、大きな効果につながることを物語っています。私たちの身近な生活の場面には、様々な気付きがあります。皆様も気付くことから、環境にやさしい取組を始めてみましょう。

※最終結果は、こちら(取組紹介「Saving Energy」に掲載)(2020年3月終了)

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