Saving Food × iiMaquet(アイアイマーケット)

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日々の生活で感じる「もったいない」と思う気持ち、大切にしたいですね。食品ロスやプラスチックの削減、省エネなどに取り組む「チームもったいない」の活動に参加する企業の取組について、随時紹介していきます。

<店舗の経営と啓蒙活動で食品ロス削減に取り組む企業を紹介>

iiMaquet(アイアイマーケット)店主 山中善昭さん

“業績を上げることが、社会問題の解決につながる”

やりがいのある仕事を通して、食品ロス削減に貢献する。

まだ食べられるのに捨てられてしまう食品を買い取り、店舗で一般販売しているiiMaquet。経営者である山中さんが考え、実行する、食品ロス削減のための「対症療法」と「原因療法」について伺いました。

廃棄される運命の食品を

価値のある商品に変えるという

食品ロス問題の“対症療法”

17年間勤めた百貨店を脱サラして、ネット通販事業を軌道に乗せた山中さん。もともと、世の中に利益を還元したいという思いがあったことから、海外や被災地へ図書館を寄贈する活動などを行っていました。

しかし、その後の状況の変化により、徐々に業績に陰りが見え始めたそうです。
『その際に思ったのは、事業自体が社会に役立つようなものでないといけないということです。ちょうどその頃、食品廃棄に関する相談を知人から受け、食品ロス問題のことを知りました。捨てられてしまう食品を引き取り販売する仕事なら、世の中のためになり、サステナブルに活動できると思い、iiMaquet を立ち上げることにしました。』

こうして2018年10月にまず飲食店向けの卸売として事業をスタートさせ、翌年から現在のお店で一般消費者向けの小売を始めました。廃棄される食品を救うことは、食品ロス問題への“対症療法”としての側面だといいます。

『契約企業様を毎日2トントラックで巡回して、廃棄前食品を引き取って店に並べます。経費削減のため店は狭く看板もなく、ディスプレイにもこらずコンテナそのままの陳列。商品は不揃いで、価格もわかりにくいのですが、お客様には半ば宝探しのように楽しんでいただいています。』

買い取った賞味期限間近の商品や、過剰在庫品、箱潰れ品などを適切な価格で一般消費者様に販売しているiiMaquet。

そもそも食品ロスそのものを減らすための

“原因療法”も必要だと考え、啓蒙活動を開始。

「いつも助かっているよ」という言葉が何よりの励みになるという山中さん。
しかし企業も個人も、食品ロスに高い関心があるとは限りません。

『企業間には他社との熾烈な競争があり、お客様に選んでもらうために十分すぎる品揃えをし、閉店間際に買い物をする方のためにも欠品がないように努力します。それが食品ロスにつながってしまうという現実は今も変わりません。』

一方の消費者サイドについても、お店を始めた頃は、値段の安さだけで購入されていると感じることが多かったそう。

『企業努力をする店側も、少しでも安く買おうとする消費者側も、決して悪くありません。ただ、食品ロスの現実をもっと知ってもらい、そもそもロスすることを減らせるような“原因療法”が必要だと思ったのです。』

学生が主体となって食品ロス問題について講義する「親子ワークショップ」

そこで山中さんが取り組んでいるのが、食品ロスについてのワークショップです。「親子ワークショップ」は、店舗のお客様とそのお子様に参加いただくために主に夏休みや春休みに開催。お客様向けのSNSを活用して告知し、プレゼンテーターには学生のインターンシップ生を募って、学生主体で食品ロス問題について発表します。

『食品ロスについて教えるのが、毎日現場で実際に向き合っている人間であれば説得力があると思います。さらに、うちでは先生役に若い学生を起用しています。大量生産・大量消費・大量廃棄の高度経済成長を経験した中高年や、バブル世代の私達とは大きく異なり、Z世代を中心とした若い方たちの環境意識の高さには期待できます。発表することで学生自身の勉強にもなります。』

引き取ったものを売り切る力も、

社会への発信力もさらに高めて

食品ロス削減を進めていきたい。

iiMaquet として「チームもったいない」のSaving Food部門に参加しようと思ったのも、大きな会社の担当部門が取り組むSDGsではなく、事業そのものが直接的に社会問題に取り組む活動が世の中に広がれば良いと考えたからだそう。

『私たちが行っているのは“対症療法”としての食品ロス削減と“原因療法”としての親子ワークショップやSNSを通じた情報発信です。年間300トンくらいの食品を廃棄から救っていますが、日本全体から考えるとほんの誤差程度なので、店舗を増やして少しでも多く削減できるようにしたい。また、情報発信に関しては、現在の親子ワークショップを続けるとともに、学校や自治体と組んで、地域を巻き込んだ啓蒙活動をしていきたいと思っています。ワークショップでもお伝えしているのですが、まずは食品ロスがどういうもので、どういうところで、どれだけ発生しているのかを、自分に当てはめて考えることから始めれば、解決策が見えてくるのではないでしょうか。』


食品ロスを減らす工夫をすることはもちろん大切ですが、どれだけ多くのロスが発生しているのかを多くの方に知っていただくことも「もったいない活動」の大事な取り組みの一つなのではないでしょうか。

記事ID:021-001-20231206-008935