交通機関の種類とCO2排出量

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持続可能な環境交通の実現を目指して −自動車に過度に依存しない交通行動への転換−

<自動車のもたらした環境問題>

1908年、世界で初めて量産された乗用車であるT型フォードが登場してから今日まで、自動車は世界中で様々な社会の変化をもたらしました。国土を覆う道路網の建設、裾野の広い自動車産業を中心とした経済成長、長距離を高速に移動する手段が得られたことによる広域経済圏の発展、移動体の燃料として適していた石油の大量消費の始まり、これらが20世紀の社会経済を牽引し、人々は利便性向上の恩恵を享受しました。
一方で、自動車の大量普及は、巨大な負の側面ももたらしました。都市を駆け抜ける自動車の排出ガスは、人々の健康を損なう面も伴うこととなりました。大量に普及した自動車が消費する大量の石油は、工場や発電所で用いられる他の化石燃料とともに、この100年で地球規模での気候変動に影響を与えるほどに大気中の温室効果ガスの濃度を高めました。まさに、1908年から今日までの社会の変化は自動車中心の変化であり、人類は利便性の向上と引換えに環境的に持続可能な社会を失いつつあります。
私たちは、地球規模での気候変動の危機を回避するため、人間が中心となる持続可能な環境交通が実現した社会への転換を図っていかなければなりません。
 

<環境にやさしい交通行動を>

東京は、世界の都市でも最高水準の公共交通機関を有しており、また、低公害で低燃費な車両を用いた高効率の輸送も、先進的事業者等により実践されています。このような都市としてのポテンシャルを、CO2削減に向け、最大限に引き出していく必要があります。人間が中心となる持続可能な環境交通の実現には、ライフスタイルやビジネススタイルとして自動車に過度に依存しない交通行動を定着させることが必要です。
交通手段別のCO2排出量は、図1のようになっています。CO2削減の観点からは、自家用乗用車よりも鉄道や路線バスの利用が望ましく、また徒歩や自転車での移動がより望ましいと言えます。

図1 《CO2排出量の比較-1人を1キロメートル運ぶのに排出されるCO2》(2022年度)                   

CO2排出量の比較

 

以下にリンクしてありますEXCELファイルを開き、所定のセルに数値を入れることにより、1人が1つ、もしくは2つ以上の交通手段を使い、任意の距離を移動する場合に排出するCO2の量を計算することができます。

CO2排出量の計算シート(エクセル:31KB)

東京都環境局では、「環境にやさしい交通行動」をお願いしております。

<現状>

都内における運輸部門のCO2排出量は以下の通りとなっております。
2021年度(速報値)における運輸部門のCO2排出量構成比は、2000年度と比較した場合約13ポイント減少していますが、都内全体の総排出量約5,351万トンと比較すると、図2のように、全体の16.5%を占めています。
また、図3のように、運輸部門のCO2排出量の約8割が自動車に起因しています。

CO2排出量構成比の比較(図2:部門別、図3:運輸機関別)

図2【CO2排出量の部門別構成比】2021 年度(速報値)

CO2排出量部門別構成比

図3【運輸部門の運輸機関別CO2 排出量構成比】2021 年度(速報値)  

【運輸部門の運輸機関別CO2 排出量構成比】2021年度(速報値)

都における温室効果ガス排出量は、東京都の地球温暖化対策<データで見る温暖化>を参照してください。

<走行量、渋滞距離の推移>

図4のように、乗用車・貨物車別走行量は、2002 年度をピークに減少傾向にあり、2021 年度において、自動車走行量は約 348 億台 km となっています。また、全走行量中の乗用車と貨物車の構成比は、乗用車の割合が増加し、貨物車の割合が減少する傾向で推移してきましたが、近年はおおよそ一定の構成比で推移してきています。

また、図5のように、一般道路における渋滞距離の推移については、1997 年から 2000 年までをピークとして、減少傾向で推移しておりますが、近年は横ばい傾向になっています。今後、首都圏三環状道路や骨格幹線道路の整備事業、連続立体交差事業や橋梁整備など、道路ネットワーク整備の推進により、渋滞距離の減少が図られていくと考えられます。

図4 乗用車・貨物車別走行量の推移

 

図5 一般道路における渋滞距離の推移

 

 

※図4~図5は、「東京都における最終エネルギー消費及び温室効果ガス排出量総合調査(2021年度速報値)報告書」に掲載

記事ID:021-001-20231206-008619